2002 Fiscal Year Annual Research Report
MinC,MinD,MinEによる細胞分裂面決定機構の構造生物学的研究
Project/Area Number |
13780491
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岩崎 わかな 理化学研究所, 理論構造生物学研究室, 基礎科学特別研究員 (00332289)
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Keywords | 細胞分裂 / 結晶構造解析 |
Research Abstract |
細胞分裂において、その分裂面の位置を正しく決定するということは、最も重要なプロセスの一つである。近年、原核生物においてMinC, MinD, MinEなどの一連のタンパク質群が、互いに協調して細胞分裂面を決定していることが明らかになりつつある。本研究は、これらのタンパク質の複合体の立体構造を決定し、その相互作用様式を調べることによって、分裂面位置決定の分子機構を明らかすることを目的とする。 まず、高度好熱菌Thermus thermophilus HB8由来のMinC, MinDの大量発現系を構築した。MinC, MinD単独の構造は、既に発表されているが、機能についての知見を得るためには、分子間の相互作用機構を明らかにすることが必須である。そこで、MinCとMinDを複合体として精製する方法を探索した。しかし、安定な複合体をカラム精製することはできなかった。組み換えMinCとMinDがFtsZの重合を阻害することは確認できたことから、foldingに問題はないと考えられる。MinC, MinDを混合してNative-PAGEにかけたところ、会合体のバンドが認められなかったことから、両者の親和性が、そもそもあまり高くないと考えられる。複合体を安定化させるため、架橋試薬を用いて分子を架橋することも試みたが、成功しなかった。MinCとMinDを混合した状態で結晶化を試みたところ、針状結晶が得られた。しかし、この結晶は残念ながら複合体の結晶ではなく、MinD単独の結晶で、非対称単位に2分子が入っていると予想された。現在明らかにされているMinDの立体構造はいずれも単量体であるが、最近になって、MinDは2量体またはそれ以上の会合体で機能することが示唆されている。従って、得られた結晶を用いてMinD 2量体の構造を決定すれば、MinDが実際に機能する際の真の姿が明らかになると期待される。この結晶は完全双晶のため、解析が困難であるが、分子置換法により1つ目の解を見つけることができた。現在、残りの解を探索中である。
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