2001 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストンの部位特異的ユビキチン化が再構成ヌクレオソームの高次構造に与える影響
Project/Area Number |
13780511
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
青木 勝彦 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (80328278)
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Keywords | ユビキチン / ヒストン修飾 / ヌクレオソーム |
Research Abstract |
本研究では、出芽酵母ヌクレオソームの再構成系を用いて試験管内でヌクレオソーム内のヒストンH2Bに対する部位特異的モノユビキチン化反応を構築し、そのモノユビキチン化が再構成ヌクレオソーム構造に与える影響を解析する。本年度は、1、出芽酵母のゲノムDNAからヒストン(H2A、H2B、H3、H4)及びNucleosome Assembly Protein-1をクローニングし、それらの大腸菌での発現系を構築した。2、出芽酵母のゲノムDNAからユビキチン活性化酵素(UBA1)、ユビキチン転位酵素(RAD6)、ユビキチンをクローニングし、それらの大腸菌での発現系を構築した。3、得られた蛋白質を用いてヒストンの部位特異的ユビキチン化反応を検証した。 まず、市販のH2A(ウシ胸腺由来)を基質として、大腸菌から精製したユビキチン化因子のユビキチン化能を調べた(哺乳類のH2Aも酵母のH2Bと同様に部位特異的なユビキチン化を受けることが知られている)。反応後のH2Aは高度にマルチユビキチン化し、精製した蛋白質の活性が維持されていることが示された。そこで、このマルチユビキチン化がヒストンの特定のリジンに対する部位特異的なものであることを検証するために、マルチユビキチン鎖を形成できないユビキチン変異体を用いて同様の反応を行った。その結果、マルチユビキチン鎖は形成されなかった。また、酵母H2Bのユビキチン化部位である123番目のリジンをアルギニンに置換した変異体を用いた反応では、ユビキチン化が起こらなかった。これらの結果から、ヒストンの部位特異的なユビキチン化はUBA1とRAD6のみで起こることが示唆された。しかし生体内ではヒストンの大部分がモノユビキチン化状態で存在している。このことからモノユビキチン化には何らかの制御機構が働いていると考えられる。
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