2001 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体ストレス応答性膜蛋白質Herpの機能および翻訳調節機構の解析
Project/Area Number |
13780519
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
小亀 浩市 国立循環器病センター研究所, 病因部, 室員 (40270730)
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Keywords | 小胞体ストレス / ストレス応答 / ストレス蛋白質 / 分子シャペロン / 翻訳抑制 / Herp / 品質管理 / IRES |
Research Abstract |
小胞体内腔に構造不全蛋白質が蓄積し、過剰な負荷が課せられた状態を小胞体ストレスと呼ぶ。このとき細胞は、分子シャペロン量を増加させると同時に、蛋白質全般の翻訳量を抑制し、さらなる負荷を防ぐ。私達は、小胞体ストレスで転写誘導される機能未知蛋白質Herpを発見した。蛋白質レベルにおいてもHerpの誘導量は著しく、上述の翻訳抑制と一見矛盾する。現在、ストレス蛋白質の合成がストレス時の翻訳抑制機構から逃れる仕組みは不明である。そこで本研究は、Herpの機能解明および翻訳抑制回避機構の解明を目的としている。本年度は以下の成果を得た。【Herp mRNAに存在するIRESの同定とその役割の評価】小胞体ストレス時にHerpなどのストレス蛋白質が効率良く翻訳されるのは、キャップ構造非依存的翻訳開始反応、すなわちmRNAの5'非翻訳領域に存在するIRESに依存する可能性がある。そこで、Herpの5'非翻訳領域を詳細に調べた結果、強いIRES活性を示す短い塩基配列を同定した。しかし、このIRES依存性翻訳が小胞体ストレス時に特異的に機能する現象は見られなかった。したがって、ストレス時の翻訳抑制回避には未知の機構が潜む可能性が高い。【Herp発現に伴う細胞機能の変化】Herp過剰発現によって、プレセニリンによるアミロイド蛋白質生成が促進されることを見出した。すなわち、Herpが神経細胞死に関わる可能性、あるいは膜蛋白質の成熟を促進する可能性が示された。現在、小胞体における蛋白質の品質管理機構に対するHerpの役割を検討中である。【Herpノックアウトマウスの作成】ターゲティングベクターと相同組み換えしたES細胞の複数クローンを単離した。このうち2種を用いてキメラマウス2系統を作成し、さらにヘテロマウスの作成に成功した。次年度には、以上の成果をさらに発展させ、本研究の目的達成を目指す。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Koichi Kokame: "Identification of ERSE-II, a new cis-acting element responsible for the ATF6-dependent mammalian unfolded Protein response"J. Biol. Chem.. 276(12). 9199-9205 (2001)
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[Publications] Rui-Hai Zhou: "Characterization of the human NDRG gene family : A newly identified member, NDRG4, is specifically expressed in brain and heart"Genomics. 73(1). 86-97 (2001)
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[Publications] Tomoko Yoshikawa: "Immunohistochemical localization of opsins and alpha-subunit of transducin in the pineal complex and deep brain of the Japanese grass lizard, Takydromus tachydromoides"Zool. Sci.. 18(3). 325-330 (2001)
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[Publications] Naoharu Iwai: "Association between SAH, an acyl-CoA synthetase gene, and hypertriglyceridemia, obesity, and hypertension"Circulation. 105(1). 41-47 (2002)
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[Publications] 小亀浩市: "高ホモシステイン血症と小胞体ストレス応答"日本血栓止血学会誌. 13(1). 17-25 (2002)
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[Publications] Xiaorei Sai: "Endoplasmic reticulum stess-inducible protein, Herp, enhances presenilin-mediated generation of amyloid β-protein"J. Biol. Chem.. (印刷中). (2002)
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[Publications] 池島(城谷)裕子: "血小板血栓形成の分子機構"アイプリコム. 407 (2002)