2002 Fiscal Year Annual Research Report
超高分解能X線結晶構造解析によるファミリー18キチナーゼの反応機構の解明
Project/Area Number |
13780528
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
野中 孝昌 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (30242457)
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Keywords | キチナーゼ / 超高分解能 / X線結晶構造解析 / 反応機構 / 酵素 / 触媒反応 / 放射光 / 蛋白質 |
Research Abstract |
Bacillus circulans WL-12由来キチナーゼAl及び同株由来キチナーゼDは共にキチンを2糖単位で加水分解するマルチドメイン構造を持った糖鎖加水分解酵素である。キチナーゼはアミノ酸配列の相同性に基づいて分類されたファミリーの中で、ファミリー18及び19のどちらかに全てが分類されており、キチナーゼAlとキチナーゼDはどちらもファミリー18に属している。キチナーゼAl及びDに関しては、どちらも触媒活性ドメイン(以下、CatD)のみにしたフラグメント酵素の結晶化に成功してしる。キチナーゼAl及びDのCatD結晶のX線回折強度データの収集は、高エネルギー加速器研究機構および高輝度光科学研究センターで行った。 キチナーゼAlの異なった結晶化条件によって得られた結晶の構造精密化からは、非対称単位中の分子数が異なる分子モデルも構築した。さらに、基質複合体及び阻害剤複合体に関しても高分解能のX線回折強度データが得られたので、結晶中のタンパク質以外のヘテロ分子の構造を明瞭に同定することができた。ファミリー18に属する酵素の反応を特異的に阻害するアロサミジンとデメチルアロサミジンを用いて複合体結晶を作製した。これらのアロサミジン類に対しては、分子軌道法計算を行う事で周囲のアミノ酸や水分子の影響を考慮した理想構造を作製した。理論的に不自然な結合長、結合角そして原子間距離を修正していく事で構造をさらに精密なものとした。構造精密化の終了した野生型キチナーゼAlCatDの結晶構造については、プロテインデータバンク(PDB)への登録を行った。 キチナーゼDに関しては、基質複合体結晶を作製することができなかったので、現在ある蛋白質単独及び阻害剤複合体の結晶構造の精密化を行った。阻害剤であるアロサミジン類の結合によって生じた周囲の主鎖の構造変化や乱れの様子が詳しく分かった。
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