2002 Fiscal Year Annual Research Report
コリプレッサーTuplとヒストンの相互作用とその転写抑制における役割
Project/Area Number |
13780557
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
向 由起夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60252615)
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Keywords | 酵母 / 転写抑制 / コリプレッサー / ヒストン / クロマチン / Tup1 |
Research Abstract |
出芽酵母のコリプレッサーTup1は,RNAポリメラーゼIIを含む転写装置と相互作用することにより,そしてクロマチン構造を変化させることにより,遺伝子の転写を抑制する。本研究では,Tup1がクロマチンを介して転写を抑制するメカニズムを明らかにするために,Tup1とヒストンタンパク質との相互作用が転写抑制に与える影響について検討した。 713アミノ酸からなるTup1は73-328アミノ酸位の領域においてヒストンH3およびH4と結合する。次の方法によってTup1のヒストン結合領域をさらに詳しく解析した。 (1)ヒストン結合領域内に導入した3種類の欠失変異はどれもtup1変異を相補することができなかった。従って,Tup1の機能には73-328アミノ酸領域が必要であると結論した。 (2)Saccharomyces cerevisiae Tup1のヒストン結合領域をCandida albicans Tup1またはSchizosaccaromyces pombe Tup11のそれと置き換えたキメラ遺伝子を構築した。これらヒストン結合領域のアミノ酸配列がほとんど似ていないにもかかわらず,すべてのキメラ遺伝子がS.cerevisiae tup1変異を相補した。今後,これらのヒストン結合領域の高次構造を研究する必要があると考えられる。 (3)S.cerevisiae TUP1遺伝子のヒストン結合領域内にPCR法によってランダム変異を導入し,それらから転写抑制能が欠損したtup1変異株を多数分離した。抗Tup1抗体を用いたウェスタンブロッティングを行うと,変異Tup1タンパク質のほとんどが不安定であったが,安定なTup1タンパク質を発現する3株を見つけることができた。これらの中にヒストンH3またはH4と結合できない変異株が含まれることが期待される。
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