2001 Fiscal Year Annual Research Report
ほ乳類ポリコーム蛋白複合体の分離・同走及びその生物学的機能解析
Project/Area Number |
13780558
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石原 浩人 広島大学, 医学部, 助手 (10325160)
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Keywords | ポリコーム遺伝子群 / リンパ球初期分化 / 転写制御 / クロマチン / 発がん |
Research Abstract |
PcG遺伝子群はショウジョウバエにおいて最初に同定され,ホメオボックス遺伝子の転写抑制因子として報告されている.PcG遣伝子産物は核内で複合体を形成し,Ubxなどのターゲット遺伝子の遺伝子座をヘテロクロマチン構造に変換し,初期発生に関与するホメオボックス遺伝子活性を抑制するとされる.ショウジョウバエでは少なくとも30個以上,ほ乳類ではそれ以上のPcG遺伝子が存在すると推測されているが,核内でこれらの遺伝子群産物がどの様な複合体を形成し,クロマチン構造を変化させているのか未だ解明されていない領域は多い.私は,この蛋白質複合体を単離・同定し,そのサブユニットの同定と機能解析をする事により,PcG蛋白複合体によるクロマチン・サイレンシングのメカニズムを解明することを目的とした。 このポリコーム蛋白質複合体の精製にも成功しつつあり、現在構成蛋白質の同定を試みている。ショウジョウバエでもポリコーム蛋白質複合体の精製がKingstonの研究室から最近報告された。蛋白質複合体の構成成分は、哺乳類とハエで共通のものも有るが、哺乳類特有のものもいくつか存在していることが分かってきた。DNA結合蛋白質や、ヒストンの脱アセチル化酵素、基本転写因子TFIIs、などが構成成分として存在していることが分かってきた。転写抑制機構の破綻が、免疫異常、癌化などの原因の一つと考えられる。さらに、このポリコーム蛋白質複合体の不安定化が細胞の細胞周期およぴ細胞死のどちらの(または両方)パラメーターを異常にするのかを検討するために、DNATipを用い、標的遺伝子の発現スクリーニングを始めたところ、いくつか興味深いがん遺伝子群、がん抑制遺伝子群がなどが同定できた。これらの両方の遺伝子群を同時に制御していることが、免疫不全や細胞のがん化などを制御していると考えられた。今後これらの制御機構を詳細に詰めていきたい。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Miyazaki, K., Inoue, H., Onai, H., Ishihara, H., Kanno, M.: "Chemokine-mediated thymopoiesis is regulated by a mammalian Polycomb group gene, mel-18"Immunol Lett.. 80. 139-143 (2002)