2001 Fiscal Year Annual Research Report
発現クローニング法によるES細胞増殖因子の同定と分化機構への関与に関する研究
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13780588
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 充治 東京大学, 医科学研究所, 助手 (40332621)
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Keywords | ES細胞 / 転写因子 / Oct-3 / 4 / LIF / Stat3 |
Research Abstract |
幹細胞は、多分化能と自己複製能を持つ細胞であり、中でもES細胞は、多方向への分化能を保ったまま培養液中で増殖させることが可能な細胞で、再生医療や遺伝子治療への応用が期待されている。ところがES細胞の多分化能がどのような細胞内機構によって実現されているのかに関する情報は十分ではない。これまでにleukemia inhibitory factor(LIF)とその下流のgp130-Stat3経路、転写因子Oct-3/4とが多分化能の維持にとって重要な役割を担っていることが示されてはいるが、これらが互いにどのようなかかわりをもつのか、これらの因子が何を起こすことで、細胞の多分化能が維持されるのかについてはいまだ不明である。また、マウス以外の動物種においては、細胞の多分化能維持に対するLIFの作用が小さいこと、LIF遺伝子欠損マウスの細胞からもES細胞の増殖を維持する因子が出されていることから、LIF以外の因子によるシグナル伝達経路の存在も示唆されている。そこで本研究においては、Oct-3/4と共役して機能する因子の同定を行うことで、上記の因子を互いに関連付けるような細胞内シグナル伝達経路、あるいは新規の経路を見いだすことを目的とした。未分化細胞特異的に発現する遺伝子Rex-1のプロモーター領域に見られるOct-3/4の結合部位の近傍に、未知の因子が結合することに着目し、タンパク精製と酵母のワンハイブリッド法によりこの因子の同定を試みた。その結果、タンパク精製からは、この因子が60kDの大きさを持つことがつきとめられた。現在ペプチドシークエンスによる遺伝子同定のために、等電点電気泳動を利用したさらなる精製を進めている。また、ワンハイブリッドスクリーニングからもいくつかの候補遺伝子があがってきており、現在目的の因子であるかどうかの検定を進めている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Sato, T.Taniguchi, N.Tanaka.: "The interferon system and interferon regulatory factor transcription factors - studies from gene knockout mice"Cytokine Growth Factor Rev.. 12. 133-142 (2001)
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[Publications] Hata, N., Sato, M., Takaoka, A., Asagiri, M., Tanaka, N., Taniguchi, T.: "Constitutive ifn-alpha/beta signal for efficient ifn-alpha/beta gene induction by virus."Biochem Biophys Res Commun. 285. 518-525 (2001)
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[Publications] Nakaya, T., Sato, M., Hata, N., Asagiri, M., Suemori, H., Noguchi, S., Tanaka, N., Taniguchi, T.: "Gene induction pathways mediated by distinct IRFs during viral infection."Biochem Biophys Res Commun. 283. 1150-1156 (2001)