2002 Fiscal Year Annual Research Report
コリン作動性ニューロン特異的遺伝子発現・ノックアウトシステムの確立
Project/Area Number |
13780626
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
三澤 日出巳 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 主任研究員 (80219617)
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Keywords | 遺伝子改変 / トランスジェニックマウス / ノックアウトマウス / 運動ニューロン / コリン作動性ニューロン / Cre / アセチルコリン / トランスポーター |
Research Abstract |
近年、トランスジェニックマウスやノックアウトマウスを用いて、特定の遺伝子を全身で欠失または過剰に発現させる手法が一般的となっている。しかし、複雑な脳機能を解明するためには、任意の遺伝子を特定の神経細胞のみで改変するシステムが求められている。コリン作動性ニューロンで特異的に発現するコリンアセチル転移酵素(ChAT)とシナプス小胞アセチルコリントランスポーター(VAChT)は同一の遺伝子座(cholinergic gene locus ; CGL)にコードされている。ヒトCGLの遺伝子断片11.3kbを取り出し、VAChT翻訳領域にP1 bacteriophage Cre recombinase (Cre)を挿入したコンストラクトを作製した。受精卵へのマイクロインジェクションにより得た11匹のトランスジェニックマウス(VAChT-Creマウス)は、Creによる組み換え後にLacZが発現するレポーターマウス(CAG-CAT-Z ; Araki et al.,PNAS (1995) 92,160)と掛け合わせて機能検定を行った。全般的にはコリン作動性ニューロンにLacZ発現の選択性はみられるものの、トランスジーンのゲノム挿入部位の影響と考えられるラインごとでの発現パターンの差異が認められた。このうち、複数のラインで、脳幹と脊髄の運動ニューロンおよび内側手綱核のみにLacZの発現が限局し、前脳部のコリン作動性ニューロンをはじめ、他の脳部位での発現は僅少であった。脳幹の運動核では体性運動核(somatomotor nuclei;動眼神経核、顔面神経核など多数)に発現がみられるのに対し、内臓性運動核(visceromotor nucleus;迷走神経背側核)では発現がみられなかった。上記のCreによる組み換えは胎生マウスでは検出されず、出生後に開始し、成長に伴い運動核の約半分のニューロンに達した。
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Research Products
(1 results)