2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13780645
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
本田 学 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助教授 (40321608)
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Keywords | 聴覚 / 体性感覚 / 可聴域 / 気導 / 骨導 |
Research Abstract |
人間の聴覚は、20kHzを超える空気振動を認知できないことが一般に知られている。しかし近年、聴覚医学および脳生理学の分野で、この可聴閾を超える高周波の弾性振動に対する人間の感受性に関する興味深い知見が報告されている。第1は、可聴域の音声信号で振幅変調した可聴域を超える高い周波数の搬送波を弾性波として骨導で被験者に呈示すると音声の明瞭な認知が可能であるという現象である。第2は、超可聴域高周波成分を可聴域音とともに被験者に呈示すると、可聴域音のみを呈示した時に比較して、視床および上部脳幹を含む脳深部の局所脳血流が統計的有意性をもって増加し、同時に脳波背景律動のアルファ帯域成分のパワーが脳深部の血流と有意に相関して増減する現象である。本研究では、気導を介した聴覚呈示では認知できない可聴域をこえる高周波弾性振動が、皮膚の機械的振動を介して神経系におよぼす影響を生理学的に解明するために、自然環境音や楽器音に含まれる可聴域をこえる広帯域非定常高周波振動成分を皮膚接触により機械振動として呈示するシステムの開発と、高周波振動成分に対する皮膚感受性を評価するための方法論の開発を目的とする。 本年度は、周波数特性に改良を加え広帯域化を図ったセラミック振動子をもちいて、広帯域高周波成分をできるだけフラットな周波数特性で皮膚接触呈示するためのシステム開発の基礎的検討と、広帯域振動情報の再生システムの構築をおこなった。レーザードップラー測定装置およびFFT周波数解析装置をもちいて機械的振動の周波数特性を計測したところ、100kHzにまでおよぶ帯域で機械振動を伝達することが可能であることが示された。今後、このシステムをもちいて生体計測を実施していく予定である。
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