2001 Fiscal Year Annual Research Report
順序運動の学習と計画に関わるサル線条体および黒質ドーパミン細胞間の機能的結合
Project/Area Number |
13780656
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
松本 直幸 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (00252726)
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Keywords | 線条体 / 大脳基底核 / 介在細胞 / 報酬 / 嫌悪 |
Research Abstract |
本研究課題では、サル線条体の持続放電型細胞(Tonically Active Neurons, TANs)が行動課題の学習・遂行中にどのような情報を担うのかを明らかにすることを目的として実験を行った。実験には日本ザル一頭を用いた。サルが手元のレバーを押すと緑色のLED(指示1)が点灯し、その1.2-1.8秒後にLEDの色が赤、青、黄のいずれかに変わり、試行条件を提示する(指示2)。すなわちLEDが赤であれば成功試行で報酬の水を得ることができる報酬条件、青であれば顔面への空気の噴射を回避できる嫌悪条件、また黄の場合は報酬や嫌悪とは無関係のビープ音が提示される中立条件である。サルは指示2の消灯を合図(GO)としてできるだけ早くレバーから手を放さねばならない。反応時間(GOからレバーリリースまで)やエラー試行を解析することで、サルが3つの条件を十分に理解し課題を遂行していることを確認したうえでTANsの課題関連活動を解析した。課題遂行中に記録された199個のTANsの応答を調べると、試行条件を示す指示2に対して応答を示すものが98%を占め、同じ感覚種であるにも関わらず単に指示2の出現を予告する指示1に対しては、わずか35%のTANsが応答を示すにとどまった。また、指示2に応答を示したTANsのうち3条件を区別せず全条件で応答を示したものは38%であり、残りの62%のTANsは条件の違いに依存した応答を示した。以上の結果からTANsは報酬や嫌悪などの行動の結果得られるものの違いを予告する感覚刺激に対して応答し、かつそれらの違いを区別しうることが明らかとなった。このようなTANsの応答特性は予想される行動結果に依存して投射細胞の活動を修飾し、その後の適切な行動の発現過程に必須の役割を果たすと考えられる。
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Research Products
(1 results)