2001 Fiscal Year Annual Research Report
磁場配向と磁気泳動による生体高分子への磁場効果研究
Project/Area Number |
13780671
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩坂 正和 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (90243922)
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Keywords | 磁場配向 / 磁気泳動 / 磁場効果 / 細胞機能 / 反磁性高分子 / 酵素反応 / 赤血球 / カタラーゼ |
Research Abstract |
本研究では、生体高分子が強磁場下で受ける2種類の力(回転力と並進力)によって、細胞や高分子重合体が磁場配向および磁気泳動現象を示す原理をもとに、細胞挙動や様ざまな生化学反応における生体高分子の機能を磁気的に制御・計測することを目的として研究を推進した結果、本年度は下記の成果を得ることができた。 1)これまでの磁場配向コラーゲンを用いた細胞の配向誘導に加えて、培養付着細胞を10テスラ級の定常磁場に60時間以上曝露することで、コラーゲン等の生体高分子を用いない磁場配向手法を確立し、また評価法も提案した。磁力線に平行な配向性を示す血管平滑筋細胞および骨芽細胞における細胞内高分子の役割について調べるため、直線偏光を用いた細胞内骨格等の生体高分子重合体が磁場中で回転運動を示す様子をリアルタイムで光検出する光学測定システムを開発し、例えば14テスラ磁場下の血管平滑筋細胞内の高分子は約10,000秒の時定数で回転・配向することを示唆する実験結果を得た。 2)酵母、血小板などの浮遊細胞と剥離し浮遊化した接着細胞(平滑筋細胞)を水中にて空間勾配磁場に曝すことにより浮遊細胞に磁気泳動効果を与え、細胞濃度に空間勾配を与えることが可能であることを実験的に証明した。 3)赤血球サスペンションを磁場に曝露し、磁力線に平行に赤血球が配向することによる光吸収特性変化と、赤血球内ヘモグロビンの状態変化によるスペクトル形状変化を区別して検出することに成功した。 4)カタラーゼの酵素活性に対する磁場効果を電気化学的手法で調べた。白金黒電極表面にカタラーゼ分子を吸着させた層を形成し過酸化水素溶液に浸した。この電極を最大8テスラの強磁場下において電極電流測定を行った結果、磁場下で電極電流が100%変化することを見出した。磁場下で電極表面のカタラーゼ分子集団の構造変化が生じたと結論した。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] Umeno A, Kotani H, Iwasaka M, Ueno S.: "Quantification of adherent cell orientation and morphology under strong magnetic fields"IEEE Transactions on Magnetics. Vol.37. 2909-2911 (2001)
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[Publications] Iwasaka, M, Miyakoshi, J., Ueno, S.: "Optical Absorbance of Hemoglobin and Red Blood Cell Suspensions under Magnetic Fields"IEEE Transactions on Magnetics. Vol.37. 2906-2908 (2001)
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[Publications] Iwasaka, M, Miyakoshi, J, Ueno, S.: "Magnetophoresis of Diamagnetic Cells and Microorganisms in a Culture Medium"IEEE Transactions on Magnetics. Vol.37. 2644-2646 (2001)
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[Publications] Iwasaka, M., Yaoita, M., Kono, T., Ueno.S.: "Magnetically Disturbed Activity of Immobilized Catalase on an Electrode in Hydrogen-Peroxide Buffer"IEEE Transactions on Magnetics. Vol.37. 2941-2943 (2001)
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[Publications] 岩坂正和, 上野照剛: "新展開に入った細胞の磁場配向技術"日本応用磁気学会誌. Vol.25 No.7. 1378-1383 (2001)
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[Publications] 岩坂正和, 上野照剛: "強磁場下での細胞内骨格再配置のリアルタイム偏光検出"日本応用磁気学会誌. (in press). (2002)
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[Publications] 矢尾板仁, 岩坂正和, 上野照剛: "白金黒表面における固定化酵素活性の磁場による抑制効果"電気学会論文誌A部門誌. Vol.121-A. 1066-1071 (2001)
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[Publications] Iwasaka M, Ueno S: "Manipulation of Cells by Diamagnetic Energy"Journal of Applied Electromagnetics and Mechanics. Vol.14(in press). (2002)
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[Publications] Iwasaka M, Ueno S, K. Shiokawa: "Cleavage Pattern Modulation of Frog's Egg under Magnetic Fields of 10 Tesla Order"Journal of Applied Electromagnetics and Mechanics. Vol.14(in press). (2002)