2001 Fiscal Year Annual Research Report
生体膜類似表面を利用した新規細胞培養システムの創製
Project/Area Number |
13780672
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邉 順司 東京大学, 大学院・工学系研究所, 助手 (60323531)
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Keywords | 組織工学 / リン脂質ポリマー / ポリ乳酸 / 細胞適合性 / 組織適合性 / キャスト膜 / サイトカイン / 繊維芽細胞 |
Research Abstract |
親水性の2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)は疎水性のn-ブチルメタクリレート(BMA)と共重合することにより造膜性を付与できる。本研究では、培養細胞の接着性の向上と培養後のマテリアルの分解・消失を目的として生分解性のポリ乳酸(PLA)を側鎖に有するマクロモノマー(メタクリル化ポリ乳酸)を用いて3成分からなるポリマーを分子設計し、3元共重合体を合成した。得られたMPCポリマーは、核磁気共鳴分光法(NMR)、元素分析により構造を決定し、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定により分子量を決定した。MPCポリマーを細胞培養用のポリエチレンテレフタレート基材にコーティングし、X線光電子分光法(ESCA)によってMPCユニット由来のリン脂質極性基の導入を確認した。細胞培養実験としてマウス繊維芽細胞(L929)を用い、MPCポリマーをコーティングした培養基材上での細胞接着数の評価を行った。その結果、ポリ乳酸ユニットを共重合体中に導入することによって細胞接着数は有意に増大した。また、接着した細胞を位相差顕微鏡によって観察したところ、細胞がストレス性サイトカインを産生している際にみられるような極度の伸展状態は見られなかった。これは、共重合体中に存在するMPCユニットによる効果であると考えられた。以上より、細胞に対してマテリアルからのストレスを低減できるMPCポリマーの創製に成功した。
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