2001 Fiscal Year Annual Research Report
有限要素法を用いたコンピュータシミュレーションによる人工肺の至適設計
Project/Area Number |
13780695
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小堀 深 早稲田大学, 理工学部, 講師 (70329093)
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Keywords | 有限要素法 / シミュレーション / 人工肺 |
Research Abstract |
人工肺は、手術中における血液への酸素付加、および二酸化炭素除去を目的とした、肺の機能を代行する機器である。本研究では近年多用される外部灌流膜型人工肺における血液流れや物質移動の解析法として、コンピュータによる数値シミュレーションを駆使し、患者に優しい効率的な人工肺を作製することを目的としている。 はじめに、流れを表す方程式より有限要素法を用いて解析し、血液側境膜物質移動係数の推算、およびガス移動速度の算出を試みた。これらのシミュレーション解析を、ウシ血液によるin vitro実験と比較検討した。圧力損失および酸素移動速度のシミュレーション解析値と実験値の比較より、これらがほぼ一致したことから、本法により人工肺設計に対してシミュレーション解析が有効であることを示すことができた。膜面積を一定とし、人工肺内の膜充填を偏らせた結果、芯側の膜充填を緩やかにし、外側の膜充填を密にすることで、既存の人工肺より圧力損失を減少させながら酸素移動速度を上昇させることが可能であった。また、人工肺モジュールの形状を、モジュール長さLとモジュール内径Dの比L/Dを指標に変化させた結果、L/Dが大きくなるにつれ圧力損失、酸素移動速度ともに減少した。血液の偏流を防ぎ、圧力損失が50mmHg以下、酸素移動速度が370ml/min以上という実用上の必要条件を設定すると、モジュール形状比L/Dを1.7〜2.8に設計することが適切であることがわかった。 以上の検討から、外部灌流膜型人工肺における膜充填法やモジュール形状が血液の流動状態やガス交換速度に与える影響について、多くの知見が得られた。これを発展させ、人工肺開発における時間とコストを要さないシミュレーション解析による至適設計の実現が期待される。
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Research Products
(1 results)