2001 Fiscal Year Annual Research Report
ES細胞由来の培養心筋細胞の樹立と心筋の発生、分化、再生の研究
Project/Area Number |
13832003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 誠 京都大学, 医学研究科, 助手 (00271007)
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Keywords | 発生・分化 / 循環器・高血圧 / 遺伝子 / 再生医学 / 先天性心疾患 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ES細胞由来のin vitroの心筋分化系を構築することにより、心筋系列(cardiac lineage)の決定機構や、心筋の分化、増殖、終末分化のメカニズムを解明することである。当初、Nkx2.5の心筋エンハンサーにGFPを連結したコンストラクトを用いて、ES細胞から初期の分化段階の培養心筋細胞を樹立を目指したが、このエンハンサーはin vitroにおいても初期から活性化されるものの、GFPの発現が弱く、ソーティングの効率が悪いなど、不都合な点があることが判明した。そこで、作戦を変更し、胎生初期から心筋に強く発現しているミオシン軽鎖2Vの遺伝子座に、相同組み換えによりGFPをノックインするターゲティングコンストラクトを作成した。サザン解析にて確認した相同組み換え体をin vitroで分化させると、早い時期からGFPを強く発現し、ソーティングを効率よく行えることが判明した。今後、構築したこのin vitroの系を用いて、培養心筋細胞よりRNAを採取し、各段階で特異的に発現している遺伝子のクローニングを行う。また、Nkx2.5のプロモーター解析を行うため、Nkx2.5周辺のゲノムDNAを含むBACクローンを複数クローニングし、上流40kbまでカバーする5種類のレポーターコンストラクトを作製した。今後、これらのコンストラクトを構築した培養細胞系で用いて、Nkx2.5の上流遺伝子の解析を行う.。Nkx2.5の下流遺伝子の検索については、培養細胞系の確立に時間がかかったため、ダブルノックアウト細胞を用いる実験と並行してホモ変異体と野生型胚の心臓より採取したRNAを増幅してDNAチップなどに用いる実験を行った。今までに、ホモの心臓で発現がない遺伝子、ホモの心臓で発現が異常に増加している遺伝子を数種ずつ単離しており、現在発現パターンや機能について解析中である。
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