2001 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌攪乱物質の新規生体内ターゲットの分子生物学的解析
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13833010
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
渡邉 肇 岡崎国立共同研究機構, 統合バイオサイエンスセンター, 助教授 (80212322)
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Keywords | 内分泌攪乱物質 / エストロジェン受容体 / 遺伝子発現 / アフィニティー精製 |
Research Abstract |
内分泌攪乱物質とよばれる化学物質については様々なレベルでの研究がなされつつあるが、分子レベルでの作用機構についてはほとんど解明されていない。いくつかの化学物質については、エストロジェン受容体への結合が報告されているもののその結合は一般に非常に弱く新のターゲットであるという明確な証拠はない。そこで本研究では、内分泌撹乱物質のターゲットとなる生体分子を明らかにし、その機能の解析を行った。 我々がすでに開発したアフィニティー精製用のラテックス粒子に内分泌攪乱物質を共有結合させ、この粒子に結合する生体分子の精製を行った。モデルとしてラテックス粒子に結合した化学物質は、フタル酸、ノニルフェノールなどの誘導体である。ヒト子宮頚ガン由来の細胞の抽出液から、これらのアフィニティーラテックス粒子に結合する因子を精製し、そのアミノ酸配列から内分泌攪乱物質に結合する生体分子の同定を行った。またさらにこの情報から、遺伝子のクローニングを行い、,これら遺伝子産物を発現させる系を構築した。現在、これらの遺伝子産物と内分泌攪乱物質の結合に関しての詳細な解析を行っており、並行して遺伝子の機能面からの解析をすすめている。 内分泌攪乱物質に結合する生体分子としてエストロジェン受容体ではなく別の生体分子が精製されたことは、内分泌攪乱物質が生体に影響を及ぼす際に必ずしもエストロジェン受容体を介しているとは限らないことを示唆している。この点を明らかにするために、内分泌攪乱物質とエストロジェンが遺伝子発現に及ぼす影響についても解析を行った。その結果、エストロジェンにより発現が変化する遺伝子と内分泌攪乱物質により発現が変化する遺伝子は必ずしも一致せず、内分泌攪乱物質はエストロジェン受容体以外の生体分子を介して作用していることが、遺伝子の発現レベルからも確認された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Hajime Watanabe, Atsuko Suzuki, Hiroshi Handa, Taisen Iguchi 他: "Genome-wide analysis ofchanges in early gene expression induced by estrogen"Genes Cells. (in press). (2001)
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[Publications] Iguchi, T., H.Watanabe, Y.Katsu: "Developmental effects of estrogenic agents on mice, fish and frogs"Horm. Behav. 40. 248-251 (2001)
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[Publications] 渡邊 肇, 井口泰泉, 諸橋憲一郎: "内分泌攪乱物質の生体内作用発現にかかわる性ステロイド受容体の役割"日本臨床. 60. 397-403 (2001)
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[Publications] Watanabe, H., A.Suzuki, T.Mizutani, H.Handa, T.Iguchi: "Large-scale gene expression analysis for evaluation of endocrine disruptors"Proceddings fo 1^<st> International Forum for Toxicogenomics. (in press). (2001)
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[Publications] Suzuki, A., K.Uchida, Y.Ohta, Y.Katsu, H.Watanabe, T.Iguchi 他: "Developmental effects of perinatal exposure to bisphenol-A and diethylstilbestrol on reproductive organs in female mice"Reprod. Toxicol.. (in press).
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[Publications] Honma, S., A.Suzuki, D.L.Buchanan, Y.Katsu, H.Watanabe, T.Iguchi: "Low dose effect of in utero exposure to bisphenol A and diethylstilbestrol on female mouse reproduction"Reprod. Toxicol.. (in press).
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[Publications] Watanabe, H., D.L.Buchanan, H.Handa, T.Iguchi: "Perspective in Comparative Endocrinology"Goos, H.J.Th., Rastogi, R.K., Vaudry, H., Pierantoni, R.(eds.). 563 (2001)