2001 Fiscal Year Annual Research Report
地衣類の単離培養を基盤とした新規有用物質の探索と二次代謝の制御に関する研究
Project/Area Number |
13836009
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
棚橋 孝雄 神戸薬科大学, 薬学部, 助教授 (20171811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 信夫 大阪市立環境科学研究所, 研究主任 (40270764)
竹仲 由希子 神戸薬科大学, 薬学部, 助手 (90289041)
伊藤 篤子 神戸薬科大学, 薬学部, 講師 (10223132)
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Keywords | 地衣菌 / 地衣藻 / 単離培養 / 構造決定 / フェノール性化合物 |
Research Abstract |
地衣菌を単離培養すると本来の地衣成分とは異なる二次代謝物を生産することがある.これは「地衣菌は自然界においては共生という生活形態をとるため,共生藻にとって好ましくない代謝物の生合成の発現は抑制されている.しかし,単離培養条件下では共生を脱したことにより,本来持っていた地衣菌の二次代謝関連遺伝子が発現した」ためと考えることが出来る.そこで数種のTrebouxia属の共生藻の単離培養を行い,このうち最も成長の良好であったTrebouxia ericiを用いて,これまでに地衣菌培養から単離した二次代謝物および既知の地衣成分が,藻類の成長におよぼす影響を検討した.その結果,地衣成分emodinやusnic acid,とくにemodinがより強く共生藻の成長を阻害することが明らかとなった.しかし,地衣菌代謝物の1,8-dihydroxy-5-methoxy-3-methylxanthoneやgraphenoneは予想に反して,共生藻の成長阻害を示さないか,あるいは弱い阻害しか示さなかったことから,単離地衣菌の生産する代謝物が必ずしも共生藻の成長にとって不都合とはいえないことを明らかにした. またGraphis属の地衣菌の代謝物graphenoneの生合成を調べる目的で,^<13>Cで標識した酢酸およびメチオニンを地衣菌培養に投与し,それらの取り込み様式を明らかにした. 一方,新たにGraphis属の地衣菌培養を行い,新規化合物を含む数種の二次代謝物を単離し,合成的にその構造決定をすべく現在検討している.
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