2003 Fiscal Year Annual Research Report
女性表象におけるジェンダー力学の歴史的研究―「毒婦物」の書誌学とテクスト分析―
Project/Area Number |
13837012
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Research Institution | Osaka University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
平田 由美 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (60153326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 龍一 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (60189214)
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Keywords | 近代国民国家 / 国民文化 / ジェンダーと文学テクスト / テクストの叙述構造 / 歴史意識 / 「毒婦」と「ファム・ファタール」 / 歴史と文学 |
Research Abstract |
研究計画の最終年度として、本年度は主たる力点をこれまでに調査・収集された資料の整理と分析に置いて作業を行い、資料じたいの調査・収集は補遺的なものにとどめた。 作業の進捗状況と実績は以下の通りである。 (1)資料の整理と分析:基礎調査および絞り込み調査の結果、具体的な分析の対象として選別した資料(近世戯作・明治戯作、近代小説・近代戯曲、芝居絵・錦絵・錦絵新聞など)のうちほぼすべての整理を終えることができた。テクスト分析の作業は全体の7割程度にとどまるが、分析対象となるふたつの時間軸のうち、19世紀についてはカバーしており、報告書執筆にはおおむね差支えがないだけの作業を完了している。 (2)国外資料調査:昨年度の調査対象とした早稲田大学附属演劇博物館の資料を補うものとしてハーバード大学サックラー美術館が所蔵する近世木版画を調査し、あわせてコロンビア大学のドナルド・キーンによるコレクションの近代日本文学関係資料の補遺的調査を行った。 (3)論文および成果報告書の執筆:資料の整理と分析に力を注いだために、前々年度および前年度に比べて論文等の研究発表は少ないが、ジェンダー研究を特集した『思想』955号に登載された代表者と分担者による戦後日本におけるジェンダーの再編についての論考は大きな成果である。現在、研究成果報告書の原稿を各自執筆中であるが、研究代表者の執筆にかかる部分は別個、民間出版社より論文集として刊行される予定である。
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[Publications] 平田由美: "《国=家の物語》を組み替える"思想. 955号. 126-148 (2003)
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[Publications] 成田龍一: "「引揚げ」に関する序章"思想. 955号. 149-174 (2003)
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[Publications] 成田龍一: "近代都市空間の文化経験"岩波書店. 371 (2003)
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[Publications] 成田 龍一: "司馬遼太郎の幕末・明治"朝日新聞社. 309 (2003)