2001 Fiscal Year Annual Research Report
医療場面でのジェンダーバイヤスの実態調査とジェンダー学に基づく医療実践の方向性
Project/Area Number |
13837017
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Research Institution | Nagano College of Nursing |
Principal Investigator |
吉沢 豊予子 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (80281252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
跡上 富美 長野県看護大学, 看護学部, 講師 (20291578)
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Keywords | ジェンダー分析 / ジェンダーバイヤス / men's health / ジェンダーシンシティビティ |
Research Abstract |
平成13年度は研究計画書に述べられた目的1.1)看護学教科書、看護学論文について、ジエンダー分析を実施すること、ジェンダーの視点から医療を見るために、women's healthと同時にmen's healthが今どのように考えられ、研究、実践されているのかをwomen's healthの概念が既にしっかりしているオーストラリアにおいて調査、視察することであった。 1)看護学の教科書の特に成人看護学の教科書を収集した。この分野は成人期の男女を扱う分野であることから一番ジェンダーの視点が要求されるところであると考えるからである。ジェンダー分析にはDr.Alexanderのプロトコールを参考に研究者が独自のプロトコールを作成し、実施した。その分析内容には、1.男女の生物学性差について述べられているか。2、看護行為を行ううえで、男女の配慮についてどのように記載されているか、3.患者の特性を知る上で社会学的心理学的な側面では、男性学、女性学を配慮した対象の把握のためのアセスメントがあるかどうかなどを中心に調査を行った。その結果、1については生理学的、解剖学的面ではその違いが述べられているものはあったが、治療等についてはなかった。2.3においてはほとんど述べられていなかった。論文の分析においての、日本のキーワードにジェンダーを使っているものは非常に少なく、ジェンダーの意味の理解が異なっていることが多かった。 2)オーストラリアにおいてmen's healthについて調査、研究を行った。日本ではmen's healthの概念は皆無といっていいほど研究、実践の分野には登場してきていない概念である。しかし、オーストラリアにおいては、1999年にMen's healthはどのような方向で研究されるべきかという報告書が出されており、その中で特徴的なのは、男性の保健統計で出されてきている数値をジェンダーの視点を入れて研究する必要性、男性学あるいはMasculinityの視点からも研究する必要があることが述べられていることである。 本年度は以上のことを実施したが、さらに分析を必要とするところが多々あり、それを行っていく予定である。
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