2003 Fiscal Year Annual Research Report
医療場面でのジェンダーバイヤスの実態調査とジェンダー学に基づく医療実践の方向性
Project/Area Number |
13837017
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Research Institution | Nagano College of Nursing |
Principal Investigator |
吉沢 豊予子 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (80281252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
跡上 富美 長野県看護大学, 看護学部, 講師 (20291578)
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Keywords | ジェンダーに敏感な視点 / 性差医療 / 女性専門外来 |
Research Abstract |
平成13年、14年は、看護系の教科書、看護研究論文においてジェンダーに敏感な視点をもって分析されているかについて検討を行った。15年度はジェンダーをキィーワードに日本の文献ではどのような文献が検索されるか検討をした。その結果、ジェンダーは性別としての使われ方がされており、またジェンダーがキーワードになっていても検索された文献の内容はセクシュアリティにかかわるものが多く、医療の文献でのジェンダーの概念は、暖昧であることが明らかにされ、医療の中でのジェンダー概念の明確化が必要とされた。 また平静14年度から医療に携わる看護学生に対し、2コマほどのジェンダー教育を行っている。学生たちは医療におけるジェンダーバイヤス、ジェンダーに敏感な視点がどれだけ持っているかを「医療現場のジェンダー」としてレポートを課している。その結果、介護とジェンダー、医療者と患者におけるジェンダー、身体的男女の差と社会学的な役割による影響との両方の関係からの対象の捉え方、ケアのあり方を考え、レポートで述べられる学生がいた。昨今、性差医療が言われるようになり、ジェンダーに敏感な視点を持ち、性差医療を担える医療者の育成が大切と考える。また、今回女性外来に注目し、その趣旨、どのような運営が女性外来の効果的な運営であるのか、女性外来を行うにあたり、そのスタッフはどのような教育がされているかについて聞き取りを行った。その結果、女性外来の趣旨が示されているところとそうでないところがあり、総合窓口になってしまっているところもあり、スタッフのジェンダー教育が必要であることが示された。 3年間のまとめとして、今後の医療の中のジェンダー学とは、性差医療と同等の言葉として考える必要があり、本来の性差医療を目指していくには、医療に携わるもののジェンダー教育、医療の中でのジェンダー学の明確化、性差の身体的、社会的など多側面からの研究が必要であることをここに示す。
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