2001 Fiscal Year Annual Research Report
職業生活と家庭生活が夫婦の心理的健康に及ぼす影響:ジェンダー・ギャップの視点から
Project/Area Number |
13837026
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
伊藤 裕子 聖徳大学, 人文学部, 教授 (50296357)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相良 順子 聖徳大学, 人文学部, 講師 (20323868)
池田 政子 山梨県立女子短期大学, 教授 (70105964)
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Keywords | 心理的健康 / 夫婦関係 / ジェンダー / 職業 / 自己開示 / ソーシャル・スキル |
Research Abstract |
本研究は、個人の心理的健康に及ぼす妻と夫の職業生活と家庭生活の要因を明らかにすることを目的とした。平成13年度は、子育てを終えた中年期夫婦(40〜50代)を調査対象とし、およそ780組の夫婦から得られた1,005名(女注522名、男性483名)を分析対象として、以下の点を明らかにした。 1.心理的健康(主観的幸福感)に寄与する要因の重みは男女で異なり、女性では夫婦関係満足度の、男性では職場満足度の影響が相対的に大きい。しかし、それは性別役割分業の結果であって、女性のフルタィム就業者では、心理的健康に及ぼす要因の影響が男性のそれに近似している。このことから性別による違いというより、個人がエネルギーを注いでいるものから得られる満足感がその個人の主観的幸福感を規定すると言えよう。 2.個人の仕事へのコミットメントの程度と夫婦関係満足度との関係は、女性の場合、就労形態に関係なく、仕事への打ち込みの程度が大きいほど夫婦関係満足度は減少する傾向にあるが、男性ではその傾向はみられなかった。女性が仕事に打ち込むことは男性とは異なる意味を持っており、その背景に、期待される性別役割が異なることが考えられる。 3.個人の心理的空間を配偶者とどの程度共有しようとするかは、夫婦の結婚満足度と関係する。しかし、その関係の仕方は男女で異なり、女性では心理的共有度が低下するにつれ満足度も低下するが、男性では共有度が低くても満足度はあまり低下しない。男性の場合、"個人としての配偶者"への心理的関与が少なくても夫婦関係に満足し得るという点で、夫婦であることの意味が女性とは幾分異なることが考えられる。
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