2002 Fiscal Year Annual Research Report
子宮全摘出術を受けた成熟期以降の女性のセクシュアリティに関する基礎的研究
Project/Area Number |
13837029
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
豊田 淑恵 東海大学, 健康科学部, 助教授 (60207652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 恵子 東海大学, 健康科学部, 助手 (10287104)
横山 寛子 東海大学, 健康科学部, 助教授 (30143150)
石井 美里 東海大学, 健康科学部, 講師 (10276660)
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Keywords | セクシュアリティ / 子宮全摘手術 / 成熟期の女性 / 回復へのサポート |
Research Abstract |
今年度の目的は、子宮全摘出術を受けた女性およびその配偶者(パートナー)へのセクシュアリティに関するアンケート調査を実施した。その対象は、子宮・卵巣がん患者会全国ブロックの会員に行った。その会員500名中、数名の方が逝去されていた。また、手術後経過の良否にかかわらず、手術に関することが含まれるアンケート調査の無回答が目立った。一方、パートナーとの精神的ズレを感じながらも身体的接触を維持しているカップルや、身体的接触はなくなったが精神的なつながりを身近に感じているとのカップルなどの回答から、測定スケール「性格と特定不安および精神の健康度と対処法」のいくつかのパターンを知り得ることができた。 そこで、引き続き面接協力を得られた一組の夫婦(北海道在住)のデータをもとに、認識のズレの時期、ズレの内容、そして子宮全摘出術を受けた時から現在までの過程における精神的回復動機あるいは体験、対処法などの貴重なデータ収集を行うことができた。手術体験に関しては、疾患名が「がん」であったため、手術前に体験した「がん告知」による精神的不安と苦痛の大きさに比べると「さほど気にならない」という決心後の爽快感が見受けられた。精神的回復過程における新たな知見としては、次のようなことを得ることができた。1.身体的(吐き気)、発熱、だるさなど)回復の兆しと同時に頭髪が生えてきたことが、「生きたい」という気持ちをもつ以前に、「生きている」ことの証となっていること。2.患者は現代医療一辺倒ではなく、すがる思いで気功や水中療法、メンタルケアのイメージトレーニング、自然食品などを取り入れた代替療法を積極的に取り入れ始めていること。3.複合物理疎泄療法などの講習会への参加に意欲を持つようになったこと。4.夫の家事・育児協力や経済支援があること、など。 本年、患者およびパートナーの承諾を得て、神奈川母性衛生学会で発表(平成15年2月1日)した。また、精神的回復までの体験に関する分析結果を日本助産学会(平成15年3月23日)で発表する。
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