2003 Fiscal Year Annual Research Report
子宮全摘出術を受けた成熟期以降の女性のセクシュアリティに関する基礎的研究
Project/Area Number |
13837029
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
豊田 淑恵 東海大学, 健康科学部, 助教授 (60207652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 美里 東海大学, 健康科学部, 講師 (10276660)
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Keywords | 子宮筋腫 / 子宮全摘出術 / パートナー / 受容過程 / 成熟期の女性 |
Research Abstract |
今年度は、子宮全摘出術を受けたがん患者からの面接調査を依頼することが難しくなったため、子宮筋腫すなわち良性腫瘍により子宮全摘出術を体験した女性への聞き取り調査を行った。彼女たちが、どのような意思決定により子宮全摘出術を受容したのか、またパートナー(あるいは夫)は、どのように子宮全摘出術をすることを受け止めているのかなどであり、聞き取り内容はがん患者と同じ項目で行った。今回は、手術のために入院している段階から聞き取り調査を行うことができ、手術後の安定期、ならびに退院後においても心身の変化や受け止めなどについて知り得ることができた。しかし、がん患者と比較分析するだけの双方の対象者が得られなかった。このことは、妥当性や信頼性に欠けることになるが、しかし子宮全摘出術を受ける女性の行動特性としての新たな知見を得ることができた。以下に子宮筋腫による子宮全摘出術を受けた女性の行動特性と心身の変化を簡単に述べる。 面接調査に協力を得られた5名は、いずれも40歳代であり、うち1名が独身であった。既婚者4名には子供が1名〜3名おり、夫であるパートナーはそれぞれ協力的であり、子宮全摘出術を受けることへのよき理解者であった。がん患者との一番の相違は、症状の自覚あるいは子宮筋腫の指摘を受けてから手術決定までの受診に時間を非常に要していることであった。すなわち、日常生活において月経痛や月経量の多さや貧血、腹部違和感などを感じていても、2年〜10数年の期間をおいて受診し、手術決定が行われていた。このことはがん患者と異なり、生命への危険性が少ないことが伺われるが、しかし、聞き取り調査の結果では、貧血による日常生活への影響があることは明らかとなった。次いで、受診後から手術決定は比較的早いこと。手術後の思いは、子宮全摘出術したことへの後悔や女性性喪失などはがん患者に比して少なく、もっと早くに手術をしておけばよかったとの言動が特徴的であった。身体的な変化では、術後の痛みを訴える人が目立っていたことが挙げられる。 今後、これらのデータをより分析し、子宮全摘出術を受けた成熟期女性の心身の特徴と行動特性などを、がんと子宮筋腫という悪性・良性による疾患をもった人たちおよびパートナーへのケアに役立てる。
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