2001 Fiscal Year Annual Research Report
環境問題と環境運動における女性の「不可視化」-ジェンダーの視点にもとづく環境社会学的研究-
Project/Area Number |
13837039
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
脇田 健一 岩手県立大学, 総合政策学部, 助教授 (00305319)
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Keywords | 環境問題 / 女性 / エコフェミニズム / 不可視化 / 環境運動 |
Research Abstract |
平成13年度の研究実績は、以下の通りである。 1.海外におけるエコフェミニズム理論の動向調査 日本の環境問題や環境運動における女性の「不可視化」の問題,そしてそれに関連する様々な諸課題の発見と整理を行うために、近年の、海外エコフェミニズムの文献収集を行った。現在、議論の動向の整理を行っている。 2.資料収集と現地調査 研究の調査地と調査課題としてあげたものは、(1)公害問題(宮崎県土呂久鉱毒問題等)、(2)生活環境問題(滋賀県琵琶湖の合成洗剤問題等)、(3)開発問題(沖縄県石垣市白保の新空港建設問題等)、(4)原発問題(青森県六ヶ所村反原発運動等)である。今年度は、各事例の全体像を押さえるために、まず資料の収集を行った。また、上記のうち特に、(1)・(2)については現地で関係者から聞き取り調査を行った。このうち、特に集中的に情報収集と聞き取り調査を行ったのは、(1)の宮崎県土呂久鉱毒問題についてである。現地の被害者、市民運動側の支援者等から聞き取り調査を行った。また、市民運動側で被害者の支援を行ってきた川原一之氏所蔵の「土呂久鉱毒事件関係資料」(ダンボール18箱分)を一括して借り受け、資料の複写作業を行った。聞き取り調査においては、以下の点が一定明らかになった。鉱毒被害にあった女性たちは、都市部の市民運動に支援を受けながら、被害者運動・裁判闘争を推し進めていった。しかし、そこには、「市民運動の論理」とはまた別の論理、すなわち山村に住む「生活者の論理」(被害者運動や裁判闘争に参加しない村人とも関係を維持しなくてはいけない)が存在していた。二つの論理のなかで、女性たちがどのような判断を行ってきたのか、今後、さらに調査分析を進めるなかで明らかにしていく。
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