2004 Fiscal Year Annual Research Report
下部マントルの起源とダイナミックスに関する実験的研究
Project/Area Number |
13852005
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
伊藤 英司 岡山大学, 固体地球研究センター, 教授 (00033259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桂 智男 岡山大学, 固体地球研究センター, 助教授 (40260666)
米田 明 岡山大学, 固体地球研究センター, 助教授 (10262841)
神崎 正美 岡山大学, 固体地球研究センター, 助教授 (90234153)
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Keywords | 川井式高圧発生装置 / 焼結ダイヤモンド / GaN / Fe_2O_3 / マグマオーシャン / 下部マントル / 熱弾性的性質 / 高圧含水相 |
Research Abstract |
川井式高圧発生装置の立方体アンビルに焼結ダイアモンド(SD)を用いることによって約2mm^3の体積に60GPaまでの圧力を2%以内の繰り返し精度で発生させる実験技術を確立した。最高発生圧力は63.3GPaに達した。さらに高い圧力の発生にはSD部材の改良が望まれる。この仕事は50GPa程度以上での圧力定点の開発をめざして、候補物質として取り上げたGaN, Fe_2O_3の状態の放射光によるX線その場観察と並行しておこなった。その結果、GaNでは62GPa、850Kまでの条件においてウルツアイト型-岩塩型相境界線を、またFe_2O_3では52GPa、1100Kまでの条件でヘマタイト-ペロフスカイト相-ポストペロフスカイト相の間の平衡関係を決定した。しかし、室温で測定した電気抵抗には相変化にともなう顕著な変化はいずれにおいても観察されず、これらの物質を圧力定点とし用いることが出来ないことが明らかになった。これらの成果のもとで、マグマオーシャンの固結にともなう地球の分化を解明するために地球資源物質の溶融実験を行っている。しかし圧力にともなう融点の上昇のため50GPa以上では新たな高温実験アセンブリーの開発が必要になった。多くの時間と労力を費やしたが、2900Kまでは安定に発生させることが可能になり、マントル物質、マントル-中心核系モデル材料の溶融関係の決定が進行している。 MgSiO_3ペロフスカイトの体積-圧力-温度の関係が30GPa、2500Kまで調べられて、この物質の熱弾性的物性値(デバイ温度、グリューナイゼン定数とその体積依存性)が決定された。その結果、熱膨張係数が従来の測定結果より大きな圧力依存性を示した。下部マントル上部の温度勾配の推定とともに、すでに決定された非圧縮率の温度依存性と地震学モデルを考慮してその化学組成の検討を行った。 ラマン分光、NMR測定によって高圧含水相(δ-A100H, egg相、含水スティショバイト)のプロトンまわりの局所構造の決定を系統的に進めている。
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Research Products
(7 results)