2004 Fiscal Year Annual Research Report
未来型天然資源を利用する微生物の分子細胞生物学的総合理解と応用機能開発
Project/Area Number |
13854008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
阪井 康能 京都大学, 農学研究科, 助教授 (60202082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 暢夫 京都大学, 農学研究科, 教授 (50026556)
由里本 博也 京都大学, 農学研究科, 助手 (00283648)
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Keywords | C1微生物 / ホルムアルデヒド / イソアルカン / 未来型資源 / 有用タンパク質生産 / トランスグルタミナーゼ / タンパク質分解 / 分子細胞生物学 |
Research Abstract |
本研究は、メタノールなどの還元型C1化合物やアルカンに生育する微生物を対象に、生化学的側面・分子生物学側面・細胞内構造的側面の3つの観点からその細胞機能について分子レベルでの解明を目指し、得られた分子基盤をもとに応用研究への糸口を探っている。本年度は、1.ホルムアルデヒド・イソアルカンの微生物利用代謝と調節、2.異種有用タンパク質生産系の開発、3.タンパク質分解における膜ダイナミクスの解明、に関する以下の成果を得た。 1.ホルムアルデヒドおよび分鎖状アルカン代謝調節との微生物代謝 C1微生物代謝において重要な化合物であるホルムアルデヒドの代謝に関わる酵素群を2種の酵母toアーキアよりクローン化しその発現制御機構と遺伝子構造について調べた(Yeast,21,341(2005);Yeast,21,445(2005);J.Bacteriol.,in press)。分岐構造をもつアルカンの微生物代謝について、世界で初めて明らかにした(J.Bacteriol.,186,7214(2004))。 2.メタノール資化性酵母を用いた異種遺伝子発現系 メタノール資化性酵母を用いた異種遺伝子発現系で、食品加工用酵素として用いられている放線菌由来トランスグルタミナーゼの活性型酵素の直接生産に成功した。プロ配列と成熟配列をそれぞれ別のプロモーター支配下におく方法が活性型酵素の生産にきわめて有効であった(Biosci.Biotechnol.Biochem.,68,2058(2004);BBB論文賞)。この他、脂質工学の宿主としてのメタノール資化性酵母の有用性(Plant Mol.Biol.,54,335(2004))を示した。 3.タンパク質分解の膜ダイナミクスを制御するAtg24 PpAtg24は、ペキソファゴソームやMIPAなど、オルガネラ分解時に形成される膜の新生には必要でないが、液胞と新生膜の融合反応や適正な包み込み反応に必要なこと、Atg24PXドメインはPI3Pに結合し、この結合能により、ダイナミクスを制御していることを明らかにした(Mol.Biol.Cell,16,446(2005))。
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