2003 Fiscal Year Annual Research Report
細菌異物排出タンパク遺伝子資源のポストゲノム解析と新しい耐性機構の解明
Project/Area Number |
13854012
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 明人 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (60114336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 隆弘 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (90333450)
村上 聡 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (30300966)
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Keywords | 異物排出タンパク / 多剤耐性 / 発現調節 / 二成分情報伝達系 / β-ラクタム耐性 / 多剤排出タンパク / TolC / 核様体タンパク |
Research Abstract |
前年14年度は、大腸菌の二成分情報伝達系応答調節因子32種類すべてのクローニングを行ったが、15年度はそのライブラリを用いて二成分情報伝達系による調節機構の詳細を解明すると共に、β-ラクタム剤耐性への関与について解明した。私たちは14年度においてAcrB結晶構造決定を行うことにより、AcrAB-TolC系には薬剤をペリプラズムから取り入れて外膜を介して排出する仕組みがあることを明らかにした。AcrB同様に外膜チャネルTolCと共役する排出系は他にRND型4種類、MFS型2種類、ABC型1種類計7種類存在する。これらのTolC共役型排出系がAcrB同様にβ-ラクタム剤耐性を担うかどうか調べたところ、RND型はすべてβ-ラクタム剤耐性を担うが、他のタイプは関与しないことが明らかになった。すなわち、β-ラクタム剤を排出するかどうかは、外膜チャネルタンパクとの共役の有無によって決まるのではなく、細胞質膜輸送タンパク側面に、ペリプラズム側から基質を取り入れる開口部があるかどうかに依存するものと考えられる。 大腸菌染色体には20種類もの異物排出遺伝子が存在するが、その大部分は通常ほとんど発現していない。ところが、それぞれの異物排出遺伝子に対応するrepressorが存在するのはそのうちわずか3種類しかない。その他の遺伝子がどのようにして発現抑制されているのかは謎であった。ところが、核様体H-NSをノックアウトした菌株では、多くの異物排出遺伝子が発現し、多剤耐性化が起こることがわかった。すなわち、核様体タンパクによって、異物排出遺伝子の発現がグローバルに抑制されている仕組みが明らかとなった。 さらに、二成分系に対する入力シグナルの同定を進め、インドールおよびN-アセチルグルコサミンが二成分系を介して異物排出遺伝子発現を大きく促進することを見い出し、現在論文準備中である。また、細胞間情報伝達Quorum sensingによっても異物排出遺伝子発現が誘導されることを発見し現在鋭意解析中である。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] M.Sasaki, A.Shoji, Y.Kubo, S.Nada, A.Yamaguchi: "Cloning of rat ABCA7 and its preferential expression in platelets"Biochem Biophys Res Commun. 304. 777-782 (2003)
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[Publications] N.Kobayashi, K.Nishino, T.Hirata, A.Yamaguchi: "Membrane topology of ABC-type macrolide antibiotic exporter MacB in Escherichia coil"FEBS Lett. 546. 241-246 (2003)
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[Publications] K.Nishino, J.Yamada, H.Hirakawa, T.Hirata, A.Yamaguchi: "Roles of TolC-dependent multidrug transporters of Escherichia coil in resistance to beta-lactams"Antimicrob Agents Chemother. 47. 3030-3033 (2003)
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[Publications] H.Hirakawa, K.Nishino, J.Yamada, T.Hirata, A.Yamaguchi: "β-lactam resistance modulated by the overexpression of response regulators of two-component signal transduction systems in Escherichia coil"J Antimicrob Chemother. 52. 576-582 (2003)
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[Publications] S.Murakami, A.Yamaguchi: "Multidrug-exporting secondary transporters"Curr Opin Struct Biol. 13. 443-452 (2003)
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[Publications] N.Tamura, S.Konishi, A.Yamaguchi: "Mechanisms of drug/H^+ antiport : complete cysteine-scanning mutagenesis and the protein engineering approach"Curr Opin Chem Biol. 7. 570-579 (2003)
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[Publications] S.Murakami, N.Tamura, A.Saito, T.Hirata, A.Yamaguchi: "Extra-membrane central pore of multidrug exporter AcrB in Escherichia coil plays an important role in drug transport"J Biol Chem. 279. 3743-3748 (2004)
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[Publications] K.Nishino, A.Yamaguchi: "Role of Histone-Like Protein H-NS in Multidrug Resistance of Escherichia coil"J.Bacteriol.. 186. 1423-1429 (2004)
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[Publications] T.Hirata, A.Saito, K.Nishino, N.Tamura, A.Yamaguchi: "The Effects of Efflux Transporter Genes on the Susceptibility of E.coil to Tigecycline (GAR-936), 9-(t-butylglycylamido)-minocycline"Antimicrob Agents Chemother. (in press). (2004)
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[Publications] 村上 聡: "多剤排出トランスポーターAcrBの結晶構造解析"構造生物学. 4. 155-160 (2003)
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[Publications] 村上聡, 中島良介, 山下栄樹, 山口明人: "大腸菌多剤排出トランスポーターAcrBの結晶構造解析"放射光. 16. 204 (2003)
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[Publications] 村上聡, 中島良介, 山下栄樹, 山口明人: "大腸菌多剤排出トランスポーターAcrBの結晶構造解析"日本結晶学会誌. 45. 256-261 (2003)