2003 Fiscal Year Annual Research Report
オーファン受容体アッセイ系を用いた新規生理活性ペプチドの探索とその機能解析
Project/Area Number |
13854018
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
寒川 賢治 国立循環器病センター研究所, 生化学部, 部長 (00112417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮里 幹也 国立循環器病センター研究所, 生化学部, 室長 (50291183)
児島 将康 久留米大学, 分子生命科学研究所・遺伝子情報研究部門, 教授 (20202062)
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Keywords | グレリン / 肝硬変モデルラット / 肝部分切除ラット / 肝機能改善効果 / 肝細胞増殖促進作用 / 増殖細胞核抗原(PCNA) / 肝細胞増殖因子(HGF) / 迷走神経系 |
Research Abstract |
グレリンは強力な成長ホルモン(GH)分泌促進活性に加え、摂食亢進や消化管機能調節などエネルギー代謝調節に重要な作用を持つ新規ホルモンである。本研究では、グレリンの肝生理機能および薬剤性肝硬変モデルラットや肝部分切除ラットに対するグレリンの治療効果について検討した。 その結果、1)ラットへのグレリン静注(30mg/kg)5-10分後にMAPキナーゼの活性化を認め、グレリンが肝細胞増殖に対し促進的に作用することが明らかになった。2)ジメチルニトロサミン(DMN)による薬剤性肝硬変モデルラットおいて、グレリン(3、30mg/kg)の1日1回皮下投与は用量依存性に肝線維化の軽減を認め、特にグレリン30mg/kg投与群では肝萎縮や脾腫は有意に改善し、血小板減少や出血・凝固因子の低下も改善した。遺伝子発現解析の結果、増殖細胞核抗原(PCNA)と肝細胞増殖因子(HGF)の発現が有意に上昇していた。グレリン投与による肝線維化の改善は、GH欠損ラットにおいても認められた。また、薬剤性肝硬変モデルラットの生存率はグレリン投与により有意にを改善した。3)肝臓の70%を切除後、4日目の肝細胞の再生能を検討したところ、グレリン(30mg/kg)を切除前後3日間、1日2回皮下投与群で有意に残肝重量の増加が認められ、また明らかにPCNAとHGFの遺伝子発現の上昇を認めた。 グレリンが肝機能改善効果および肝細胞増殖作用を有することが明らかとなった。グレリンのこの効果は、GH欠損ラットにおいても認められたことから、GHを介さない機序によるものと考えられた。またラット肝においてはグレリン受容体の発現はほとんど認められないことから、この作用は迷走神経系を介したものと思われる。HGFやGHは直接肝細胞に作用するが、グレリンのように迷走神経系を介して肝細胞増殖を活性化するものは他にない。本研究の結果は、グレリンを用いての肝硬変や劇症肝炎などの疾患の新たな治療法開発の可能性を示すものである。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] H.Kaiya et al.: "Peptide purification, complementary deoxyribonucleic acid (DNA) and genomic DNA cloning, and functional characterization of ghrelin in rainbow trout."Endocrinology. 144. 5215-5226 (2003)
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[Publications] Y.Hataya et al.: "Alterations of plasma ghrelin levels in rats with lipopolysaccharide-induced wasting syndrome and effects of ghrelin treatment on the syndrome."Endocrinology. 114. 5365-5371 (2003)
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[Publications] I.Sakata et al.: "Growth hormone secretagogue receptor expression in the cells of the stomach-projected afferent nerve in the rat nodose ganglion."Neurosci.Lett.. 342. 183-186 (2003)
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[Publications] S.Kimura et al.: "Ghrelin concentration in cord and neonatal blood : relation to fetal growth and energy balance."J.Clin.Endocrinol.Metab.. 88. 5473-5477 (2003)
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[Publications] M.Shimada et al.: "Somatostatin suppresses ghrelin secretion from the rat stomach."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 302. 520-525 (2003)
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[Publications] K.Choi et al.: "The role of ghrelin and growth hormone secretagogues receptor on rat adipogenesis."Endocrinology. 114. 754-759 (2003)
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[Publications] (分担)細田洋司 他: "分子糖尿病学の進歩(分担)グレリンと糖代謝"金原出版. 7 (2003)