2003 Fiscal Year Annual Research Report
新規細胞内脂質結合蛋白質ファミリーの生理機能と病態
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13854023
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新井 洋由 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (40167987)
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Keywords | 脂質輸送蛋白質 / コレステロール / ビタミンE / LDL / 不妊症 / 後期エンドソーム |
Research Abstract |
我々は、細胞内脂質結合蛋白質ファミリーの新しい機能を解明することを目的に研究を進めている。本年度の主な成果は以下の通りである。 我々がクローニングしたコレステロール生合成促進蛋白質(SPFと命名)の生理的機能を解明することを目的に、KOマウスを作製しその解析を行った。KOマウスの通常の血中コレステロールレベルは正常マウスとほぼ同じだったが、絶食時においては、正常マウスがコレステロールレベルが変化しないのに対して、KOマウスでは有意に低下した。また、絶食時に肝臓のSPFレベルが上昇すること、これがPPARαを介していることが明らかになった。さらに、LDL受容体KOマウスとの二重欠損マウスを作製した。その結果LDL受容体KOマウスに比べて、二重欠損マウスでは血中LDLレベルが有意に低下していることを見出した。すなわち、SPFは肝臓のコレステロール合成を正に維持するための分子装置であることが初めて明らかになった。 SPFと同じ脂質結合蛋白質ファミリーに属するビタミンE特異的輸送蛋白質(αTTP)が、肝細胞内において通常は細胞質に存在するのに対して、細胞内の酸性オルガネラを中性化する作用のあるクロロキンやバフィロマイシンA1を作用させると、後期エンドソーム膜表面に集積することが明らかになった。さらにこのトランスロケーションにはαTTPの脂質結合ドメインとは異なるN末端側領域が必要であることを明らかにした。この意義については現在のところ不明であるが、細胞内におけるαTTPによるビタミンEのベクトリアルな輸送機構を解明する上でヒントになると考えている。 ビタミンEは抗不妊ビタミンとして有名であるが、ビタミンE輸送を促進する蛋白質であるαTTPが、ヒトの胎盤に高レベルで発現していることが明らかになった。発現細胞の機能から考えると、胎児へのビタミンE供給を積極的に行うために発現している可能性が高い。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Horiguchi: "pH-Dependent fluctuation of α-tocopherol transfer protein(α-TTP) between hepatic cytosol and late endosomes."Genes to Cells. 8. 789-800 (2003)
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[Publications] D.E.Kaempf-Rotzoll: "VitaminE and transfer proteins."Current Opinion in Lipidology (review). 14. 249-254 (2003)
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[Publications] D.E.Kaempf-Rotzoll: "Human placental trophoblast cells express α-tocopherol transfer protein."Placenta. 24. 439-444 (2003)