2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規細胞内脂質結合蛋白質ファミリーの生理機能と病態
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13854023
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新井 洋由 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (40167987)
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Keywords | 脂質結合蛋白質 / ビタミンE / ポリホスホイノシチド / コレステロール / コレステロール / オキシステロール / 線虫 |
Research Abstract |
肝臓内ビタミンE特異的輸送蛋白質(α-TTP)は、肝細胞に取り込まれたビタミンEを再び血中に放出する経路を触媒する重要な蛋白質である。肝細胞内におけるα-TTPを介するビタミンE輸送機構を解析した結果、α-TTPは、肝臓の形質膜に存在するPIP2を標的としてビタミンEを形質膜まで運び、そこでABCトランスポーターに引渡し細胞外に放出している機構が示唆された。先天性ビタミンE欠乏症の遺伝子変異の中で、Arg59Trp変異は、ビタミンE正常に結合できるものの、PIP2に結合できないためにビタミンE欠乏症となることが明らかになった。α-TTPと相同性を持つ脂質結合蛋白質として申請者が同定したSPFは、スクワレンエポキシダーゼを特異的に活性化することによりコレステロール生合成を正に制御する。本年度はSPFのノックアウトマウスを作製、解析した。その結果、絶食時あるいはフィブラート投与時にSPFノックアウトマウスでは血中コレステロールレベルが有意に低下することを見出した。さらに、SPFノックアウトマウスと動脈硬化症のモデルマウスであるアポEノックアウトマウスを掛け合わせると、血中コレステロールレベルおよび動脈硬化巣ともに著しい低下が観察された。以上の結果から、SPFはこれまでとは異なる全く新しいコレステロール低下薬の標的となることが示唆された。コレステロール酸化物であるオキシステロールには様々な生理活性がある。オキシステロールは細胞内オキシステロール結合蛋白質を介してその作用を発揮すると考えられている。オキシステロール結合蛋白質は11種類知られているがその生理機能はほとんど明らかになっていない。本年度は、これら11種類の遺伝子をすべてクローニングし、さらに線虫に存在する4つのホモログすべてに対する欠損体の作製に成功した。線虫では、4種類すべて欠損すると胚性致死となるが、どれか一つ存在するだけで生存できた。さらに、リガンドとなるオキシステロールを加えたときのみフェノタイプの回復が増強された。これらの結果から、作製した線虫変異株は、オキシステロール結合蛋白質の機能、リガンド探しの有効なツールとなることが期待された。
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Research Products
(3 results)