2003 Fiscal Year Annual Research Report
真核細胞のmRNA動態を制御する新規G蛋白質ファミリーの構造と機能
Project/Area Number |
13854025
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堅田 利明 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (10088859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 保弘 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (60345254)
星野 真一 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 講師 (40219168)
仁科 博史 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (60212122)
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Keywords | G蛋白質 / 翻訳 / mRNA動態 / ポリA結合蛋白質 / ポリA鎖短縮酵素 / NMD経路 / Ski遺伝子産物 |
Research Abstract |
G蛋白質eRF3/GSPTファミリーは、翻訳伸長因子EF1αと相同なC末端領域とファミリー間で相同性の低いN末端領域からなる。先に我々は、eRF3がC領域を介して終止コドンを認識する終結因子eRF1と結合して翻訳終結を仲介すること、さらにN領域を介してポリA鎖結合蛋白質PABPと結合し、mRNA分解で機能することを示した。平成15年度は、このG蛋白質ファミリーが介在するmRNA分解経路について、主に酵母を用いた解析からさらに検討を進め、以下の知見を得た。1、一般にmRNA分解の律速段階はポリA鎖の短縮化にあるが、eRF3のN領域欠失変異体ではポリA鎖の短縮化が阻害されてmRNA分解が遅延した。すなわち、eRF3は翻訳終結作用に加えて、そのN領域を介してPABPと相互作用し、翻訳を終えたmRNAの分解を促進するという、G蛋白質が介在する新規のシグナル伝達経路を見出した。2、mRNAのポリA鎖を分解するヒトPAN複合体(hPan2/hPan3)を同定した。hPan2は3'→5'方向にRNAを分解するエキソリポヌクレアーゼで、PABPがhPAN3に結合すると、hPan2のpoly(A)に対する基質特異性とヌクレアーゼ活性が上昇した。すなわち、hPAN複合体はmRNAのpoly(A)鎖分解を担う特性をよく保持していた。また、PABPに対してhPan3とeRF3は互いに競合して結合することから、翻訳終結とポリA鎖分解の共役はeRF3-PABP-PAN間の相互作用を介して制御される可能性が示された。3、ナンセンス変異をもつmRNAを特異的に分解するNMD(nonsense codon-mediated mRNA decay)経路においては、5'→3'方向に加えて3'→5'方向の分解が寄与することを見出し、さらにこの分解過程に、eRF3ファミリーのメンバーであるSki7G蛋白質とUpf因子群の相互作用が関与していることを明らかにした。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Hosoda N, Kobayashi T, Uchida N, Funakoshi Y, Kikuchi Y, Hoshino S, Katada T: "Translation termination factor eRF3 mediates mRNA decay through the regulation of deadenylation."J.Biol.Chem.. 278. 38287-38294 (2003)
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[Publications] Takahashi S, Araki Y, Sakuno T, Katada T: "Interaction between Ski7p and Upf1p is required for nonsense-mediated 3'-to-5' mRNA decay in yeast."EMBO J.. 22. 3951-3959 (2003)
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[Publications] Uchida N, Hoshino S, Katada T: "Identification of a human cytoplasmic poly(A) nuclease complex stimulated by poly(A)-binding protein."J.Biol.Chem.. 279. 1383-1391 (2004)
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[Publications] Hegde R, Srinivasula SM, Datta P, Madesh M, Wassell R, Zhang Z, Cheong N, Nejmeh J, Fernandes-Alnemri T, Hoshino S, Alnemri ES: "The polypeptide chain releasing factor GSPT1/eRF3 is proteolytically processed into an IAP-binding protein."J.Biol.Chem.. 278. 38699-38706 (2003)
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[Publications] 打田 直行, 星野 真一, 堅田 利明, Ann-Bin Shyu: "真核細胞におけるmRNAの安定性制御"蛋白質 核酸 酵素(増刊「Newバイオテクノロジー」). 48. 1488-1495 (2003)
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[Publications] 堅田 利明: "翻訳終結とmRNA分解を結ぶGタンパク質"学術月報. 56. 1258-1262 (2003)
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[Publications] 堅田 利明, 富田 麗, 高橋 勝宣: "生物薬科学実験講座 第11巻 神経(脳)II(佐藤 公道,野村 靖幸編) GTP結合タンパク質活性測定法"廣川書店. 144 (2003)