2004 Fiscal Year Annual Research Report
真核細胞のmRNA動態を制御する新規G蛋白質ファミリーの構造と機能
Project/Area Number |
13854025
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堅田 利明 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (10088859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仁科 博史 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60212122)
星野 真一 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 講師 (40219168)
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Keywords | G蛋白質 / 翻訳 / mRNA動態 / ポリA結合蛋白質 / ポリA鎖短縮酵素 / NMD経路 |
Research Abstract |
G蛋白質eRF3/GSPTファミリーは、翻訳伸長因子EF1αと相同なC末端領域とファミリー間で相同性の低いN末端領域からなる。先に我々は、eRF3がC領域を介して終止コドンを認識する終結因子eRF1と結合して翻訳終結を仲介すること、さらにN領域を介してポリA鎖結合蛋白質PABPと結合し、mRNA分解で機能することを示した。平成16年度は、このG蛋白質ファミリーが介在するmRNAの分解経路についてさらに検討を進め、以下の知見を得た。1、一般にmRNA分解の律速段階はポリA鎖の短縮化にあるが、eRF3のN領域欠失変異体ではポリA鎖の短縮化が阻害されてmRNA分解が遅延した。すなわち、eRF3は翻訳終結に加えて、そのN領域を介してPABPと相互作用し、翻訳を終えたmRNAの分解を促進するという、G蛋白質が介在する新規のシグナル伝達経路を見出した。2、酵母にはポリA鎖を分解する酵素として、Pan2-Pan3複合体とCcr4-Caf1複合体の2種が存在するが、前者は分解の初期過程で、一方後者は後期過程で作用することを明らかにした。さらに、eRF3は異なる領域を介して両複合体と相互作用し、ポリA鎖分解を制御する可能性が示された。3、ナンセンス変異をもつmRNAを特異的に分解するNMD(nonsense codon-mediated mRNA decay)経路においては、5'→3'方向に加えて3'→5'方向の分解も寄与するが、この分解過程にもeRF3が介在することを明らかにした。4、mRNAの5'末端に付加しているキャップ構造はDcp1/2複合体によって脱離されるが、脱キャップ活性をもつDcp2に結合するDcp1の機能は、これまで未解明であった。出芽酵母Dcp1の相同因子を分裂酵母から単離し、Dcp1にはmRNA分解の主要な段階を制御する機能があること,また,その機能は酵母からヒトに至るまで保存されていることを、分裂酵母への導入実験系を用いて解明した。
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Research Products
(7 results)