2005 Fiscal Year Annual Research Report
真核細胞のmRNA動態を制御する新規G蛋白質ファミリーの構造と機能
Project/Area Number |
13854025
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堅田 利明 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (10088859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紺谷 圏二 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (30302615)
梶保 博昭 東京大学, 大学院薬学系研究科, 助手 (70401221)
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Keywords | G蛋白質 / 翻訳終結 / mRNA動態 / 脱キャップ酵素 / 神経細胞死 / 染色体分離 |
Research Abstract |
G蛋白質eRF3ファミリーは、翻訳伸長因子EF1αと相同なC末端とファミリー間で相同性の低いN末端の2つの機能領域からなる。これまでの解析から、eRF3ファミリーの各メンバーは、共にN領域を介して真核細胞mRNAの3'側非翻訳領域に結合するmRNA結合蛋白質群と会合し、mRNAの安定性を制御するという、このG蛋白質ファミリーの普遍的な役割を解明した。最終の平成17年度は、このユニークなN領域をもつeRF3G蛋白質ファミリーについてさらに解析を進めるとともに、他のアティピカルな性状を示す新規の低分子量G蛋白質群についても検討を加え、以下の知見を得た。 1.mRNAの5'末端に付加しているキャップ構造はDcp1/2複合体によって脱離されるが、脱キャップ活性をもつDcp2に結合するDcp1が、脱キャップ制御とは独立に、eRF3-poly(A)結合蛋白質間の相互作用を介して、翻訳の終結を制御することを見出した。2.Di-Ras(Distinct subgroup of Ras-family GTPase)はRasと一次構造上の相同性を有するが、細胞内で主にGTP型で存在して発現組織が神経に特異的である。Di-Rasは、カスペースの活性化を伴って神経細胞死を誘導した。3.Gie(GTPase indispensable for equal segregation)は、一次構造上既知のG蛋白質とは異なるサブファミリーを形成する点でアティピカルである。Gieのノックダウンは染色体分離に異常を認めたが、同様な表現型を示す相互作用因子として、RhoAと結合するNir2を同定し、GieとRhoAが競合してNir2と結合することを見出した。4.線虫のDi-Rasは神経系に特異的な発現を示し、ノックダウンによって個体の運動能が異常となる表現型を認めた。また、線虫Gieのノックダウンにより、細胞分裂時間の遅延を認めた。
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Research Products
(7 results)