2004 Fiscal Year Annual Research Report
眼球運動系を手がかりとする精神機能の脳内メカニズムの解明
Project/Area Number |
13854029
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
伊佐 正 生理学研究所, 発達生理学研究系, 教授 (20212805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 康 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 助教授 (60311198)
吉田 正俊 生理学研究所, 発達生理学研究系, 助手 (30370133)
遠藤 利朗 生理学研究所, 発達生理学研究系, 助手 (30353436)
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Keywords | サッケード運動 / 眼球運動 / 上丘 / 局所神経回路 / サル / スライス / 注意 |
Research Abstract |
視野内の複数の視覚対象の間の相互作用は注意を構成する重要な要件である。相互に近接する刺激はそれらへのサッケード運動の開始を促進しあうが、相互に離れた場所にある刺激が同時に提示されるとそれら一方へのサッケードの開始は他の刺激の提示に遅延することが知られている。 このような視野内の近接する刺激間の相互促通効果と離れたもの同士の相互抑制効果が脳内のどのような部位で起きているかは不明であるが、そのひとつの候補は中脳の上丘である。 そこでサルの上丘の一部にニコチンを微量注入し、上丘中間層ニューロンの活動を部分的に促進した場合に注入部位が符合する空間内位置及びそれ以外の部位へのサッケードがどのような影響を受けるかを系統的に解析した。すると注入部位及びその周辺領域が符合するベクトルのサッケードの反応時間は顕著に短縮し、反応潜時120msのexpress saccadeも頻繁に誘発された。それに対して注入部位から離れた部位が符合するベクトルのサッケードの反応時間には変化が見られなかった。また、注入部位に比較的近い部位が符合するサッケードの軌道は注入部位へのサッケードの軌道に向かうように湾曲したが、離れた部位へのサッケードには影響が見られなかった。このような結果は、上丘内では近接する部位間には相互に興奮させあう機構機構が存在するが、遠隔部位間の相互抑制作用は一部の研究者が主張しているほどには強くないことを示唆する。すなわち、視野内の遠隔部位間の相互抑制作用は上丘の上流に構造内で起きている可能性が今回の研究によって示唆された。この結果は近年Hallらによって上丘のスライス標本において示された結果も支持している(Helms et al.2004)。
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Research Products
(6 results)