2002 Fiscal Year Annual Research Report
実験室的に喚起された不快情動への対処有効性に及ぼす開示方略の効果-被験者の刺激希求タイプとの関連性を中心として-
Project/Area Number |
13871012
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
高橋 啓介 愛知淑徳大学, 文化創造学部, 教授 (80236273)
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Keywords | 認知的恐怖 / 刺激希求尺度 / 刺激希求タイプ / 基本感情評定尺度 / 感情パターン / 心拍数・呼吸数 |
Research Abstract |
認知的恐怖を強く喚起すると考えられる映像刺激を被験者に呈示し、各被験者の刺激希求タイプ(外的刺激希求度の高低、内的刺激希求度の高低)に応じて、喚起された情動に対する認知的評価と生体内で生じる生理的反応(心拍数と呼吸数の変化)とがどのような変動を示すかについて検討した。 刺激希求尺度(木田他,1993)への回答に基づき,外的刺激希求、内的刺激希求の各尺度の50パーセンタイルを基準として、外的刺激希求度の高(H)、低(L)、内的刺激希求度の高(h)、低(l)の各2水準を組み合わせた4群に該当する被験者を抽出し、各被験者群に男女各1名ずつの大学生を配置した。 被験者に認知的恐怖を喚起する映像刺激をヘッドマウント・ディスプレイ(SONY)によって呈示し、その前後での基本感情評定尺度の評定値(感情パターン)の変化(喚起情動の認知的評価)と、心拍数と呼吸数の安静時からの変動(生理的反応)を測定し、被験者の刺激希求タイプとの関係について検討した。 上記の結果、以下の所見を得た。 1 感情パターンの変化は、刺激希求タイプに対応した顕著な傾向を認めることはできなかったが、外的刺激希求度の高い被験者群でネガティヴな方向への変化の傾向が若干認められる。 2 心拍数、呼吸数ともに、恐怖喚起場面では、安静時に較べ減少する傾向を示し、この傾向は、内的刺激希求度の水準に関わらず、外的刺激希求度の高い被験者群でより顕著であった。 3 上記から、映像刺激によって認知的に喚起された恐怖情動に対する生体内の生理的反応は、被験者の外的刺激希求度との関連性が相対的に深い可能性が示唆される。 これまでの検討では、データの個人差が大きく、明確で一貫した傾向が見出だせていないが、被験者数を増やし、さらに、呈示する映像刺激の種類を変化させることで、より詳細な検討を加える必要がある。そのことを通して、被験者の刺激希求タイプと喚起された不快情動への対処との関係がより明確にされるものと期待できる。
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Research Products
(2 results)