2002 Fiscal Year Annual Research Report
生別母子家族がもつ資源の構造と自立支援に関する研究
Project/Area Number |
13871027
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
岩田 美香 北海道医療大学, 看護福祉学部, 助教授 (30305924)
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Keywords | 母子家族 / 母子生活支援施 / 自立支援 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度において実施した母子生活支援施設入所者への調査の中から、主に質問紙調査の結果を『母子生活支援施設を利用している方の生活と意識に関する調査報告書』にまとめた。ここでは、施設で暮らす母子家族の生活実態と、施設へのハード面・ソフト面での要望が明らかとなった。しかし、母親たちは不満がある一方で、施設の存在意義を積極的に評価し、退所後の継続的な援助も要望していた。また母親の自立支援という点では、特に無職層の母親について、自立への困難さがみられた。そこには彼女たちが生まれ育った原家族の資源の小ささも伴って貧困・生活・家族問題が再生産されていた。母子生活支援施設は、こうした成育過程においても、現在においても生活基盤が弱い母子家族にとっての、いわば「実家」のような機能を果たしている。しかし、ソーシャルワークとして「自立」と「子育て」をどのように援助していくのかについては、施設側でも具体的なプログラムをもっておらず、提供する援助も利用者とワーカーとの関係によって差が生じていた。 そこで当初は予定していなかったが、本年度は、道内全てにおける母子生活支援施設のスタッフヘの調査を実施することとした。各施設とも施設長・主任ワーカー・新人ワーカー、各1名ずつの聞き取り調査を実施し、この調査は現在も進行中である。 また本年度の研究計画であった、施設を利用せずに地域で暮らしている母子への調査については、7ケースを実施した。当初予定していた被調査者の協力が得られず、結果として紹介してもらうルートが母子生活支援施設関係者となったため、施設への認知については一定のバイアスがかかってしまった。そこで、この地域母子の調査については、被調査者を新たなルートで見いだし、次年度においても継続して実施していくこととした。
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