2002 Fiscal Year Annual Research Report
在宅高齢者に対するストレングス視点によるソーシャルワーク実践
Project/Area Number |
13871028
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
今井 朋実 東京福祉大学, 社会福祉学部, 助手 (10326994)
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Keywords | ストレングス視点 / 高齢者の抑うつ・自殺 / 高齢者の心理社会的サポート / ソーシャルワーク |
Research Abstract |
平成14年度の本研究は、高齢者の抑うつと自殺の密接な関係に着目し、社会的に孤立化し、抑うつの傾向にある独居高齢者のための、抑うつや自殺予防のための自治体の高齢者支援施策や社会心理的サポートプログラムの実態についての文献調査、キー・インフォーマント・サーベイ調査を中心に行った。平成14年8月のWPA世界精神医学会(World Psychiatric Association)横浜大会では、精神科医やパラメディカルための高齢者のうつ病(elderly depression)の知識向上のための老年精神科医によるトレーニングに参加した。また、わが国でも高齢者の自殺率の高い地域である秋田県の中仙町の抑うつ防止のためのモデル事業や新潟県の松之山町の独居高齢者のための支援プログラムに関して、保健師や福祉保健課担当の行政官等のキー・インフォーマントに対してキー・インフォーマント・サーベイ調査を行った。また、福祉と医療の町として自治体をあげて福祉システムの改革や整備を進めている新潟県長岡市の高齢者在宅福祉システムについて調査を行った。 在宅や独居での高齢者の抑うつ状態の継続はADLの低下にもつながり、また痴呆症や脳血管障害とも相関関係にあることがわかった。また、高齢者の心理社会的サポートを推進していく具体的な支援施策やサポートシステムを充実させていくことが、予防的観点から介護保険のつぎなる高齢者福祉施策にとって早急に必須であることもわかった。 本研究では、高齢者の自殺と抑うつとの相関関係、及び自治体による在宅高齢者のための心理社会的サポートの実態に対する考察をした上で、抑うつ傾向にある在宅の高齢者へのアウトリーチ活動をはじめとする高齢者の心理社会的サポートのためのソーシャルワーク実践構築の可能性を模索した。わが国では、民生委員、あるいは自治体によっては、在宅介護支援専門員が介護保険非該当の独居高齢者を中心として引きこもり予防策を主眼とした見守り活動を行っている。 本研究の主題であるソーシャルワーカーによる在宅高齢者のためのストレングス視点によるソーシャルワークを実践するために、在宅のうつ傾向にある高齢者を対象人口として、次年度は民生委員、及び在宅介護支援専門員とともにソーシャルワーク実践モデルを構築していく。
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Research Products
(1 results)