2002 Fiscal Year Annual Research Report
多言語教育プログラムによる児童の言語習得過程とその最適化に関する研究
Project/Area Number |
13871062
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Research Institution | Maebashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
原島 秀人 前橋工科大学, 工学部, 助教授 (30238175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
マシュー リーディー・ショーン 前橋工科大学, 工学部, 助教授 (40295457)
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Keywords | バイリンガリズム / イマージョン / 多言語教育 |
Research Abstract |
三年計画の二年目にあたる本年度は様々な面で本研究課題の持つ困難な面が露見した年となったが、幾つかの成果を上げることができた。 まず、本研究の対象となるインターナショナル・コミュニティー・スクール(ICS)は講師・ボランティア陣の定着化、生徒の増加、教育プログラムの充実が図られ、3ヶ国語イマージョンプログラムも順調に進むようになって来た。また、引き続き子供達の学習実態を観察、記録して行くことができた。 今年度の新しい取り組みとして、「インターナショナル紙芝居」のプロジェクトグループを立ち上げることができた。これは定期的にボランティア研究グループが集まり、良く知られた民話や御伽噺などから国際協調、異文化理解に関連のありそうな物語を選び、その中にしばしば潜んでいるジェンダーの問題、偏見、差別的表現などを検討した後それらを取り除きながら更に異文化的要素を盛り込んでストーリーを練り直し、紙芝居に描いてそれを3ヶ国語で演じるという試みである。ICS内での何度かの上演も好評であり、地域の公民館や図書館でも出前上演をすることによって国際理解をより深めることを目指した。 更にそれと平行してコンピュータソフト「キッドピックス」を使い、子供たちに四コマ紙芝居を描いてもらい、スライドショウにして発表してもらう試みを通して第二言語での自己表現力を育成した。 この様な試みに関して青山学園大学におけるJACET全国大会でポスター発表を行い、好反響を得た。反面、幾つかの問題点もあった。研究者の健康不良などもあり、計画していた海外の学会発表は実現しなかった。またICSの前橋市から玉村町への移転問題が持ち上がり、様々な面での計画見直しを余儀なくされた。更に研究者間で児童の言語活動を資料として研究に使用する場合の倫理的側面で意見の対立が起り、保護者に理解や承諾を得るための手紙や承諾書の作成、その3ヶ国語への翻訳などに手間取った。また議論の末、若年者の生の言語データを研究に使用するのは避けるべきとの結論に達し、ビデオ映像等の生データは研究に使用できなくなった。こどもを対象にした資料収集の難しさに困惑する一年であった。
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