2001 Fiscal Year Annual Research Report
鉄道車両の整備・改修と研究開発、設計製造との関連の実証分析
Project/Area Number |
13873002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
林田 治男 大阪産業大学, 経済学部, 教授 (40189676)
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Keywords | 「お雇い外人」 / 蒸気機関車の国産化 / 基幹部品の国産化 / 「弾丸列車」と「新幹線」 / 素材・部品部門の技術向上 / 国鉄とメーカーの共同作業 / インセンティヴ・メカニズム |
Research Abstract |
本年度の研究は一方で『国鉄百年史』、国鉄工場の回想記、各車両メーカーの社史等の繕いていくこと、他方で現在の研究開発や設計製造の実態調査を両輪として、発展過程と現状の理解を深めていくことで課題に取り組んでいった。 その中で次のような発展過程が明白となった。まず創業期では「お雇い外人」の役割が重要であったが、整備改修という面を手始めに急速に日本人に代替されていった。技術習得が進行していくと、貨車、客車、最後には蒸気機関車という過程を経て設計製造が行われていくようになった。しかし鉄道国有化期に「国産化」を目指したものの、素材や加工技術という点で基幹部品の国産化は昭和初期まで実現できなかった。国産化の完了と同時期に「弾丸列車」計画が企画された。電車や気動車への動力源の移行や、輸出実績などの点でも開業以来数十年を経てほぼ世界の最高水準に達したことが確認できる。その後戦争〜戦後混乱期を経て、復興からさらなる発展の象徴として「新幹線」の製造・運行が挙げられる。斜陽と見られていた鉄道の潜在力を再確認・発展させた。また経済効果の大きさも甚大であった。 この発展の基礎には運行と整備・改修、国鉄の車両設計・研究開発部門の果たした役割が不可欠である。さらにその背景には、人材の育成、時代的要請に順応したシステマティックな国鉄組織の変遷と発展、および鉄鋼業などの素材部門・モーターや電気等の関連部品部門の技術向上が挙げられる。さらに国鉄と車両メーカー・部品メーカーの研究開発や設計プロセスにおける共同作業が重要な役割を果たしてきた。また各メーカーの開発力を引き出してきた車両発注システムにおけるインセンティヴ・メカニズムの内在化も経済学的に評価できる。
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