2002 Fiscal Year Annual Research Report
二重閉じ込め法によって孤立化した一次元高分子の電子状態計測
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13874037
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
吉成 武久 山形大学, 理学部, 教授 (60158483)
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Keywords | シクロデキストリン / PMMA / アントラセン / ピレン / SnBr_4 / チオフェン類 / フルオレン |
Research Abstract |
昨年度は,筒状有機分子シクロデキストリンにアントラセン,ピレン及びSnBr_4を挿入して,単一孤立分子状態を作り出した.本年度は更に,有機EL素子であるフルオレン及び同じ有機EL素子のひとつであり,電気伝導性を有する有機分子として注目されているチオフェン系をシクロデキストリンに挿入した.これらを更に有機溶媒PMMA(ポリメタクリル酸メチル)に混入して閉じ込めて固化させた.このような二重閉じ込め状態を作り出す創意工夫によって,昇華性の高い(分子間の結合力の弱い)分子を閉じ込めることができ,冷凍機の真空中でも冷却することができた.このような二重閉じ込めの手法によって,昇華性の高い物質の低温における物性測定が可能となった.これらの試料を小型冷凍機(ジャニス社製)にセットして,真空に引いた後に冷却し,室温から15Kの定温まで反射スペクトルや発光スペクトルを測定することができた.求められた測定データをクベルカ-ムンク解析して吸収スペクトルを求めた.これらの結果を分子軌道計算ソフト,MOPACによる計算結果と比較してこれらの分子の電子準位を同定することができた。 アントラセン,フルオレン及びピレンを内径の大きなシクロデキストリンに2分子を閉じ込めることにより,光励起でエキシマー状態が作り出せるととも明らかにした.これらは分子の種類と温度条件によって,エキシマー状態ができるか,あるいは2分子からなる超分子状態生成の反応が進むかが決まることも明らかになった. 以上の重要な結果が得られたので,現在投稿のための原稿作成に取り掛かっている.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] O.Ohnishi, K.Tanaka, M.Kitaura, T.Otomo, T.Yoshinari: "Optical Spectra of Inorganic Compounds (C_2H_5NH_3)_2CdCl_4 in 3-30 eV Range"Journal of the Physical Society of Japan. 70・11. 3424-3427 (2001)
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[Publications] R.Belosludov, T.Yoshinari, T.Hiwada, Y.Kawazoe, K.Ohno, S.Nagasaka: "Chapter 5 "Cluster Investigations in Cyclodextrin Inclusion Compounds : Theory and Experiment." in "Clusters and Nanomaterials ; Theory and Experiment." Edited by Y. Kawazoe, T. Kondow and K. Ohno"Springer Verlag (Springer Series in Cluster Physics). 345(23) (2001)