2002 Fiscal Year Annual Research Report
噴火による脱ガスは揮発性元素の同位体組成変動をひきおこすか
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13874065
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中井 俊一 東京大学, 地震研究所, 助教授 (50188869)
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Keywords | ICP質量分析計 / 蒸発 / 同位体組成 / 噴火 / 火山灰 / 銅 / 亜鉛 / スズ |
Research Abstract |
本研究では,火山活動など蒸発現象により,同位体組成の変動がひきおこされるかを検討した.2年間の研究期間に以下のことを明らかにした. 1,ICP質量分析計による,スズ,銅,亜鉛の同位体測定法を確立した.それぞれの元素の試料からの精製法を検討した.銅と亜鉛に関しては^<65>Cu/^<63>Cu,^<66>Zn/^<64>Zn比が0.2‰の精度で測定可能である.スズについては^<116>Sn/^<120>Snについて同位体測定は0.2パーミル程度で可能であるが,試料精製の際の同位体分別が1‰程度起こることが分かった.スズの精製法の改良が今後の課題である. 2,中国の殷の時代の青銅器数試料を分析し,スズの同位体組成が試料により有意の差を持つことを明らかにした.これは青銅器の繰り返し溶融による,同位体組成の変動により生じた可能性がある.蒸発実験の結果,同位体変動を起こすことを確認した.同位体組成変化の大きさは今後の考察が必要である.この成果については2001年地球化学会年会と2002年のGoldschmidt Meetingで口頭発表した. 3,火山活動により放出される銅,亜鉛の同位体組成が有意に変動することを明らかにした.三宅島の2000年噴火とラバウル火山の火山灰から純水により溶脱した成分を試料として用いた.ただし,銅や亜鉛の濃度と同位体組成の間にはこれまでのところ相関は見出せなかった.また噴火活動の推移と同位体組成の変動についても明瞭な相関は見出せなかった.この成果については2002年地球化学会年会で口頭発表した.ラバウルの試料については,今後測定試料を増やし分析を続ける.試料の主成分及び微量元素分析も行っている.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Nisio, Y., Nakai, S.: "Accurate and precise lithium isotopic determinations of igneous rock samples using multi-collector ICP-MS"Anal.Chim.Acta. 456. 271-281 (2002)
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[Publications] Fukuda, S., Nakai, S.: "^<238>U/^<230>Th disequilibrium measurement for volcanic rock samples using a multiple-collector ICPMS"Geochem.Jour.. 36. 465-473 (2002)
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[Publications] Hanyu, T., Tatsumi, Y., Nakai, S.: "A contribution of slab-melts to the formation of high-Mg andesite magmas ; Hf isotopic evidence from SW Japan"Geophys.Res.Lett.. 29(22). (2002)
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[Publications] 中井俊一: "入門講座 同位体比を測るための前処理法"ぶんせき. 327(3). 108-113 (2002)