2001 Fiscal Year Annual Research Report
始源的藍色細菌Gloeobacter violaceusの光合成系の解析-藍色細菌の誕生・進化・多様性の基礎
Project/Area Number |
13874110
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
三室 守 山口大学, 理学部, 教授 (40142004)
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Keywords | 光合成 / シアノバクテリア / 反応中心 / 時間分解スペクトル / 進化 |
Research Abstract |
16s rRNA分析の結果、シアノバクテリアの中で最も早く分岐したと考えられるGloeobacter violaceusについて、その光合成特性を調べた。まず、培養条件を最適化するために、従来使用されてきたBG-11培地をやめMDM培地に変えたところ、生育速度が約20%上昇した。これは窒素源よりもリン酸が生育には重要であることを示す。こうした条件下で生育した細胞の蛍光特性を調べた。従来の報告どおり、系I蛍光が観測されないが、その原因をピコ秒時間分解蛍光スペクトル法で解析した結果、色素間の早いエネルギー移動がその原因ではないことを明らかにした(投稿中)。系Iタンパク質のアミノ酸配列が他のシアノバクテリアと比較して大きく異なることが判明したので、色素とアミノ酸の相互作用が直接の原因と考えられた。次に、生理的な性質を解明するために、系I、系II反応中心の量比を求めた。P_<700>はクロロフィルを基準として他のシアノバクテリアとほぼ同じ量が含まれているが、系II反応中心が少なく、PS I/PS II比は3を超えることが明らかとなった。これはシアノバクテリアとしては例外的に大きな値である。また温度を変えて生育させ、反応中心の量比を求めたところ、その比は5を超え、いわば系Iのみを使って生育をしているかのように見える系となった。これは、必ずしも安定ではなかった酸素発生系に依存しないシアノバクテリアのエネルギー獲得形態を示し、始原的な性質を残していると考えられる極めて興味深い結果であった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] S.Satoh, M.Ikeuchi, M.Mimuro, A.Tanaka: "Chlorophyll b expressed in cyanobacteria functions as light-harvesting antenna in photosystem I through flexibility of the proteins."Journal of Biological Chemistry. 276. 4293-4297 (2001)
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[Publications] S.Akimoto, I.Yamazaki, T.Sakawa, M.Mimuro: "Temperature effects on excitation relaxation dynamics of the carotenoid, β-carotene and its analogue, β-apo-8'-carotenal, probed by the femtosecond fluorescence spectroscopy."Journal of Physical Chemistry. (in press). (2002)
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[Publications] M.Mimuro: "Visualization of excitation energy transfer processes in plants and algae."Photosynthesis Research. (In press). (2002)
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[Publications] 三室守, 田中歩: "「光合成色素系-光エネルギーの捕集」(植物生理学光合成)"朝倉書店(印刷中). (2002)