2002 Fiscal Year Annual Research Report
ウルツ鉱構造をもつ機能性薄膜結晶のTEMによる極性判定とそのマッピングへの応用
Project/Area Number |
13875008
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
桑野 範之 九州大学, 先端科学技術共同研究センター, 教授 (50038022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
波多 聰 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助手 (60264107)
板倉 賢 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教授 (20203078)
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Keywords | 窒化物半導体 / 透過型電子顕微鏡 / 極性 / ウルツ鉱構造 / 電子チャネリング / 特性X線 / 薄膜結晶 / 収束電子回折 |
Research Abstract |
窒化ガリウム(GaN)を始めとするIII族窒化物結晶は短波長域のレーザ素子材料として注目されている.GaN系結晶の多くは六方晶系に属するウルツ鉱構造をもつ.この結晶構造には対称中心が無く、[0001]と[0001^^-]が区別される.これは極性と呼ばれる.デバイス作製では多くは(0001)面方向に結晶成長させるので極性の区別は重要である.ところが、通常の回折実験ではフリーデル側により,回折強度からは極性を区別をつけることができないが、電子回折の動力学的効果を利用すれば可能となる.本研究では透過型電子顕微鏡を用いて、薄膜結晶の微細構造を解析しながら目的の部位での極性判定を行う手段の確立を目指したものである.解析技法としては、特性X線強度が解析条件に伴って変化する現象を利用したTEM-EDS法と、試料上に電子線を収斂させて得られる回折ディスクの強度プロフィルから判定するCBED法を採用した.種々のIII-V、II-VI族結晶について検証した結果、2種の元素の原子散乱因子が近い結晶ではTEM-EDS法が、はなれている結晶ではCBED法が有利であることが確認された.とくに、GaNではTEM-EDS法でも可能ではあるが、窒素の特性X線エネルギーが低いため、かなり精度良く測定する必要がある.CBED法では容易に判別できることが確かめられた. TEM-EDS法では、入射電子線方向を振りながら構成元素GaNであればガリウムと窒素)のX線強度を測定すると、その比の変化から極性を判定することができる.本研究の年限では、種々の結晶についてTEM-EDS法による極性判定基準を決めることができた.透過型電子顕微鏡の電子回路をわずかに改善することにより、試料の特定領域を走査させながら自動的に計測するで薄膜材料での極性を2次元的にマッピングすることが可能となる.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Mitate et al.: "Transmission Electron Microscope Analysis of Microstructure in GaN Grown on (111)A nand (111)B of GaAs by Metalorganic Hydrogen Chloride Vapor Phase Epitaxy"Physica. Status. Solidi. (a)118-2. 557-560 (2001)
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[Publications] T.Mitate et al.: "Polarity Determination of Wurtzite and Zincblende Structures by TEM"Physica Status Solidi. (a)192-2. 383-388 (2002)
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[Publications] 桑野範之, 見立壽継: "TEMによりIII族窒化物結晶の極性判定"電子顕微鏡. 37-3. 194-197 (2002)