2002 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケール・マシンの動力源としてのイオン駆動による分子回転機構の特性評価
Project/Area Number |
13875023
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北川 浩 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30029095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
比嘉 吉一 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20335368)
中谷 彰宏 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50252606)
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Keywords | ナノスケール・マシン / 分子動力学シミュレーション / カーボンナノチューブ接合系 / 分子流動 / 回転動力機構 |
Research Abstract |
ナノスケール・マシン駆動源としての動力機構を構想するための基礎的知見を得る目的で、昨年度の続き原子・分子レベルの構造ダイナミックスを数値解析する方法により検討を進めて、つぎのような成果を得た。 (1)初期に構想した脂質2重膜やデンドリマー樹脂状高分子は、剛性が低くや構造的に恒常的安定性を欠くことから、ナノスケールの機械を構成する構造として不適切である。しかしナノスケール・マシンでは、通常スケールの機械のような機能ごとに独立した構造により構成することは必ずしも得策でないことから、外的環境に応じて構造そのものをダイナミックに変えて機能を発揮させる戦略で機械を設計するに際しての材料としては、構造が比較的単純で制御しやすいことから再評価をすべきである。 (2)ナノレベルの寸法でありながら構造的に安定で、高い強度・剛性を有するカーボンナノチューブ(CNT)は、汎用性のある機械・構造要素として用いることができる可能性を持つ。機械の動力機構として用いることを目的として行った検討によれば、・内部にArやHeといった希ガス分子を高エネルギー、高速で流しても破壊することなく、外的環境を遮断して(分子)輸送を行うための配管系としての機能を発揮できる。 ・管径を変化させた、接合部を含むCNTは、管壁との相互作用のために、マクロ的なノズルやディフユーザのような機能は期待できない分子流動を制御できる可能性がある。 ・分子流は管軸に沿って螺旋状の回転運動をし、遠心力を受ける結果、管壁に近いところの数密度が高くなる。この現象は、CNT接合系を単に分子輸送のための機械要素としての応用にとどまらず、エネルギーレベルあるいは質量差を利用した分離装置としての利用や、羽根車装置を組み込むことで回転動力源としてりようできる可能性を持っている。
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[Publications] I.Hanasaki, A.Nakatani, H.Kitagawa: "Molecular Dynamics Study of Ar Flow inside Nanotube Junction as Nonoscale Nozzle and Diffuser"Proceedings of International Symposium for Young Researchers on Modeling and their Applications. 283-290 (2002)
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[Publications] 花崎逸男, 北川 浩, 中谷彰宏: "カーボンナノチューブ接合系内物質流動特性の分子動力学法による評価"日本機械学会第15回計算力学講演会論文集. 02-02. 183-184 (2002)