2002 Fiscal Year Annual Research Report
イオントラップ法を用いた単一微粒子のマンピュレーションに関する研究
Project/Area Number |
13875048
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
岡 宏一 高知工科大学, 工学部, 助教授 (10160649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 正廣 高知工科大学, 工学部, 教授 (40028238)
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Keywords | イオントラップ / 微粒子 / 微小共振器 / レーザ発振 |
Research Abstract |
イオントラップ中に1個の微粒子を捕捉してそのトラップ特性および微粒子の光学特性を調べた。試料はElectro-Sprayイオン源から噴出させた帯電グリセリン液滴(サイズは〜10μm)で、微量の色素を溶かしてある。通常、イオントラップは回転双極面型の電極から成るが、本研究で用いたものは中心に穴の開いた4枚の平行平板電極から成る。このような構造のトラップは、トラップされた微粒子の光観測がしやすいという特徴がある。4枚の電極板のうち中央の2枚に交流電圧を加え、外側2枚に直流電圧を加えることにより、中心付近に擬似双極ポテンシャルが形成されることを利用した。 顕微鏡写真を撮影したり分光観測するためにはトラップ中心で0.1μmの範囲で静止していることが必要である。ラプラス方程式を解くことにより中心付近のポテンシャルを求め、このポテンシャルのもとで荷電粒子の運動をシミュレーションした。それによると、半径方向には減衰振動しながら中心に収束するが、軸方向(鉛直方向)には中心から少しずれた点を中心とした小さい振動が残ることがわかった。これは粒子に重力が作用しているためで、外側電極に直流電圧を加えこの重力の影響を消去することによって中心に静止できることがわかった。実際に観測するとそれでも両方向になお小さい振動が残る。これは電極の汚れなどによる電場の乱れが原因と考えられる。電極を支える絶縁された4本の支柱にも補正電圧を加えることにより0.1μm以内の振動に抑えることに成功した。 微小液滴は表面張力のため極めて真球に近く、内部から表面に斜入射する光はほぼ全反射する。したがってポンプ光で液滴内の色素を励起すると色素の蛍光は液滴内に効率よく閉じ込められるためしきいエネルギーの低いレーザーが発振する。このレーザー光の特性の解析をも行った。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Tona: "Polarization Effects Both in Emission Spectra and in Microscopic Images of Lasing Microdroplets Levitated in an Ion Trap"J. Phys. Soc. Jpn.. 71・2. 425-428 (2002)
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[Publications] 公文代康: "飛行時間型質量分析計のイオン源として用いるイオントラップの開発"J. Mass Spectrom. Soc. Jpn. 50・5. 217-222 (2002)