2002 Fiscal Year Annual Research Report
ポラリトン-プラズモン励起系を利用したコヒーレントテラヘルツ発振素子の基礎的研究
Project/Area Number |
13875069
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
尾辻 泰一 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (40315172)
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Keywords | プラズマ共鳴効果 / テラヘルツ / トランジスタ / ポラリトン / プラズモン / 3次高調波 / 光注入同期 / 発振 |
Research Abstract |
1.半導体内電子液体のテラヘルツ帯プラズマ共鳴効果の動作特性解析 半導体電子液体のコヒーレントプラズマ共鳴振動特性の解明を目的として、DyakonovとShurの提案したプラズマ電子波に対する流体力学方程式(摂動論的な線形結合近似による1次元モデル)を出発点として電子流体力学シミュレータの構築を進めた。数値解析には有限差分時間領域(FDTD)解析手法を採用した。プラズマ電子流体の特性を左右する動粘性係数にはフォノン散乱、不純物散乱とともにCoulomb相互作用による電子間散乱の効果を電子寿命として与えた。サブ100nmスケールの電界効果型トランジスタの電子走行チャネルに対する物理的・電気的な構造・境界条件下において、大局的には1次元近似モデルに対する解析解を支持する数値解析結果を得るとともに、キャリア濃度の異なる境界面での回折・散乱現象などの構造依存の波動伝搬特性を再現でき、プラズマ電子流体の挙動を高精度に模擬することに成功した。今後はテラヘルツ帯電磁波放射・発振特性の解析を進め、素子設計ツールとしての適用を図る。 2.半導体内電子液体のテラヘルツ帯共鳴発振動作の実験的検証 ポラリトン・プラズモン励起系を利用したレーザ2光波混合励起の手法により、ゲート長80nmの微細化GaAs MESFETを対象としてプラズマ共鳴特性観測実験を進展させた。プラズマ共鳴で生じるソース・ドレインポテンシャルの直流変調成分を測定することにより1.0〜7.5THzの範囲で共鳴強度特性を観測した。3次高調波に相当する周波数での共鳴条件が基本共鳴周波数のそれらとほぼ同一条件であったことから、3次高調波共鳴の観測にはじめて成功したと考えられる。共鳴周波数のゲートバイアス依存性は一次元近似モデルの理論解析と異なり、光励起キャリアを考慮したチャネル内電子分布を反映した非線形応答を示した。本素子の最大の特徴である、光注入同期型コヒーレントテラヘルツ帯波長可変発振素子としての実現性に見通しを得ることができた。今後はより理想特性が期待されるHEMTを対象として時間分解計測へと発展させる。
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[Publications] 尾辻 泰一: "Effect of Heterostructure 2-D Electron Confinement on the Tunability of Resonant Frequencies of Terahertz Plasma-Wave Transistors"Digest of Topical Workshop on Heterostructure Microelectronics 2003. 1・1. 80-81 (2003)
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[Publications] 尾辻 泰一: "Effect of Heterostructure 2-D Electron Confinement on the Tunability of Resonant Frequencies of Terahertz Plasma-Wave Transistors"IEICE Transactions on Electronics. E86-C・10(掲載予定). (2003)