2002 Fiscal Year Annual Research Report
水源水域に流入する低吸着性天然有機物質の安価な除去材探索-土壌浸透法への適用
Project/Area Number |
13875094
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福井 正美 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (40027462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 正孝 大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (60026119)
藤川 陽子 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (90178145)
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Keywords | 土壌浸透 / 水浄化 / 腐植物質 |
Research Abstract |
前年度の研究において研究代表者らは、高通水速度(2m/day以上)の土壌浸透による水浄化に供しうる浄化素材として、従来よく用いられてきたマサ土、木炭、赤玉土以外の性能の良い材料を見出すことを目標とし、バッチ試験を実施した。その結果、リンおよび生分解性の低い腐植質有機物<フルボ酸>の吸着除去につき有望な新しい材料を幾つか見出すことができた。ただし、現実の土壌浸透水浄化は、閉鎖系であるバッチ試験の条件と異なり、連続通水条件下で実施されるため、バッチ試験の結果だけから優れた材料を選択することには問題がある。そこで、バッチ試験で選定した素材である赤土(滋賀県)、黒ボク(滋賀県)、リモナイト(熊本県阿蘇地方に産する褐鉄鉱の1種)、上水汚泥(琵琶湖周辺河川水の処理に使用)および対照試料として赤玉土、琵琶湖の堆積物をについて、さらにカラム通水試験を実施し、連続通水条件下でのリンおよびフルボ酸の吸着除去性能を検討した。なお、赤玉土以外の素材については、高透水性を持たせるため、日立造船(株)製の団粒製造装置により直径4mm程度の粒状に加工してカラム試験に供した。 カラム実験において添加した汚濁物質が水に比べて遅れて破過する程度(遅れ度)とバッチ実験の吸着係数はHenry型吸着の場合、理論的には線形関係となる。リンについては、今回のカラム試験から、バッチ実験結果にある程度相応する遅れ度が得られた。フルボ酸の場合は、バッチ実験の結果と異なり、カラム実験においてはリモナイトのみが著しく大きい遅れ度を示す一方、他の材料ではフルボ酸の固粗への吸着に由来する遅延効果はほとんど認められなかった。原因として、吸着の速度論的効果・吸着物質の高濃度域での吸着分配の変化・微生物活動の介在・団粒形成時に添加した形成剤の影響等が考えられた。 上述の乖離について検討を行った結果、黒ボク土においては、団粒形成材添加により、フルボ酸の吸着能が低下することがわかり、形成材の選択が素材の性能を適切に発揮させる上で重要なことが明らかになった。一方、滅菌した系において実施したバッチ吸着試験結果からは、微生物活動による素材の吸着性能の変化は、20%程度にとどまり、微生物活動に起因するカラム試験とバッチ試験の差は考えにくいと判断された。その他の要因については検討を続けているところである。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Fujikawa, M.Sugahara, T.Hamasaki, H.Ozaki, M.Mitui, E.Ikeda, M.Fukui: "Characterization of Japanese soil and other geological material based on the sorption of humic substance"Proc. International Conference on Radioactivity in the Environment. 619-623 (2002)
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[Publications] 藤川 陽子, 濱崎 竜英, 菅原正孝, 矢野哲也, 今田綾介, 小河正史, 尾崎博明: "土壌浸透法による環境水中腐植質難分解性有機物の除去の基礎的検討"第9回地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会論文集. (印刷中). (2003)