2002 Fiscal Year Annual Research Report
半導体に過飽和に固溶させた金属の析出を用いた自己組織化ナノ構造の形成
Project/Area Number |
13875117
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森 博太郎 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 教授 (10024366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 秀朗 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 助手 (20324816)
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Keywords | 自己組織化 / ナノ構造 / 過飽和 |
Research Abstract |
昨年度に引き続いて、加熱したSiにSnを固溶させる試みを行っている。実験を行う上で改善する要素としては、Snの蒸着源、試料、および表面観察用の電子線回折装置がある。 まず、Snの蒸着に関しては、昨年度は、Snの蒸着源としてタングステンバスケットを用いていたが、Snの蒸着レートがこの実験にとっては低すぎて十分な量のSnを供給できないことがわかった。そこで、温度的にややオーバースペックであるが既存の電子ビーム加熱での蒸着源を用いての実験に切り替えた。問題点としては、Snの消費量が多いため、頻繁にチャンバーをあけてSnを補充しなければならない点と、放出ガスが多すぎる点である。しかし、当面は、この装置でSnの蒸着を行い、ある程度目処がたてば、試料の直下にSnの入った可動式のるつぼをセットして、試料の近距離から蒸着を行える蒸着源を作製し、頻繁にチャンバーを開けずに超高真空を保ったまま効率よく実験を行えるようにしたいと考えている。 次に、試料については、昨年までは逐次チャンバーを開けて交換していたが、ロードロックチャンバーとトランスファーロッドを改造して、チャンバーを大気にさらさずに試料交換できるようにした。この実験では、試料は一度蒸着してしまうとそのたびに交換しなければならなかったので、実験の効率はかなり良くなった。 最後に、表面観察用の電子線解析装置は、フィラメントが寿命のため断線してしまい、しばらくは表面状態が観察できないまま実験を行っていたが、先日修理を終えて復旧した。これにより、蒸着前の清浄表面や、蒸着後の表面の情報などが得られるようになった。 全体としては、基板温度を1060℃の高温に保ったまま低融点金属のSnを蒸着・固溶させるのが目的のため難しい実験となっていて、まだ固溶に成功していない。しかし、随時工夫して最終年度には有意義な結果を出したいと考えている。
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