2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13875166
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中戸 義禮 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (70029502)
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Keywords | 金属酸化物 / 酸素発生 / 水電解 / 過電圧 / エネルギー変換 / イオン注入 / 表面欠陥 / ゾル・ゲル法 |
Research Abstract |
水電解による水素・酸素の製造と水素・酸素から燃料電池による電力の発生は、将来のエネルギーシステムにおけるキーテクノロジーである。本研究では、大きな過電圧を持ち大幅な効率低下の原因となっている酸素電極反応(酸素発生、酸素還元)に対して高活性な電極材料の開発を目的とし、イオン衝撃法により電極表面に反応活性点(原子レベルのギャップ)を形成するという新しい考え方で研究を行った。市販のネサガラスやチタン板を基板とし、この上にRuO_2、Ru_<1/2>Ti_<1/2>O_2、Ru_<2/3>Ti_<1/3>O_2などの微粒子薄膜をゾル・ゲル法で作製し、これにイオン注入法(イオン工学研究所)によりRu+、Zn^+、Co^+などの陽イオンを打ち込み、1M NaOH中で電気化学的特性(酸素発生特性)を測定した。この結果、イオン打ち込みにより酸素発生過電圧が40-100mVも低下すること、これまで酸素発生に対して最も活性とされているRuO_2電極の過電圧も40mVほど低下すること、これらの低下は打ち込むイオンの種類によらず、電極表面の化学組成の変化では説明できないことなどを明らかにした。さらに、SEM、XPS、TEM等の観察を行い、イオン打ち込みにより電極表面の化学組成は変化しないこと、イオン打ち込みにより電極表面付近に原子レベルのダメージ層が形成されることなどを明らかにした。これらの結果から、金属酸化物電極に高エネルギーイオンを打ち込むと電極表面付近に原子状間隙等の欠陥(反応の活性点)が発生して酸素発生過電圧が低下することが明らかになり、また、この方法が高活性な酸素電極開発に有効な方法となることが明らかになった。この結果はJ. Phys. Chem. Bに投稿し、現在審査中である。
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