2001 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒によるオリゴピリジン新規短工程構築法の開発と新機能分子設計
Project/Area Number |
13875174
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 健兒 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60023149)
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Keywords | ルテニウム / 均一系触媒 / ピリジン / 環化付加 |
Research Abstract |
嵩高い面規制配位子であるペンタメチルシクロペンタジエニル配位子を有する2価有機ルテニウム錯体、Cp^*Ru(cod)Clを用いた1,6-ジインとアルキンおよびアルケンの[2+2+2]型の環化付加反応を、本研究室において開発し報告してきた。この成果に基づき、炭素-窒素三重結合を有するニトリルと、1,6-ジイン類との新規触媒的環化付加反応を検討した。その結果、カルボニル基・ペンタフルオロフェニル基等の電子吸引性置換基により活性化されたニトリルが、Cp^*Ru(cod)Clを触媒とする1,6-ジインとの環化付加反応に有効であり、90℃程度の加熱条件下双環式ピリジンを形成することを見出した。一方、電子吸引基を持たないニトリルに含まれる、電子的に中性のシアノ基は、本触媒反応にはほとんど活性を示さないのに対し、マロノニトリルやフマロニトリルの様な、電子的中性のシアノ基を適度な長さの連結鎖で繋いだジシアニド類が、二つのシアノ基の一方で室温下効率よく反応し、対応する双環式ピリジンを生成することを発見した。従来、ニトリルの環化付加によるピリジン合成は、ほとんどコバルト錯体触媒に限定されており、また、コバルト触媒系では、電子欠損性ニトリルが反応性を示さないことや、ジシアニドの二つのシアノ基の双方で同時に環化付加が進行することから、今回見出されたルテニウム触媒系は、全く新規なピリジン誘導体を創製する強力な武器となる。 さらに、上記のルテニウム触媒反応を用いて、有機金属錯体触媒や超分子錯体などに用いられる有用なオリゴピリジン類の合成にも成功した。アルキン基質として、1,6,813-テトラインを設計し、マロンニトリルと反応させたところ、目的とする2,2'-ビピリジル誘導体のみが選択的かつ高収率で得られた。1,6,11,16-テトラインを反応基質として反応を行ったところ、二つのピリジン環が互いに2位で三原子連結鎖を介して繋がった、ジピリジン誘導体を選択的に得ることができた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Yamamoto, S.Okuda, K.Itoh: "Ruthenium(II)-catalyzed [2+2+2] cycloaddition of 1,6-diynes with electron-deficient nitriles"Chemical Communications. 12. 1102-1103 (2001)
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[Publications] Y.Yamamoto, R.Ogawa, K.Itoh: "Significant Chemo- and Regioselectivities in the Ru(II)-Catalyzed [2+2+2] Cycloaddition of 1,6-Diynes with Dicyanides"Journal of the American Chemical Society. 123・25. 6189-6910 (2001)