2002 Fiscal Year Annual Research Report
生物的水素添加反応による有用脂質生産を機軸としたアネロバイオテクノロジーの新展開
Project/Area Number |
13876023
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清水 昌 京都大学, 農学研究科, 教授 (70093250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 道彦 京都大学, 農学研究科, 助教授 (90252494)
小川 順 京都大学, 農学研究科, 助手 (70281102)
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Keywords | 嫌気代謝 / 乳酸菌 / リシノール酸 / 共役脂肪酸 / 共役リノール酸 / CLA / Lactobacillus / Lactobacillus plantarum |
Research Abstract |
嫌気条件下での生物機能の探索と応用を目的とし、本年度は乳酸菌が嫌気条件下で示す特異な脂肪酸代謝、すなわち、水素添加反応の部分反応として見いだされた水酸化脂肪酸の脱水反応による共役脂肪酸の生成に着目した研究を展開した。特に、新規機能性脂質として注目を集めている共役リノール酸(CLA)の生産を指向した応用研究を行った。 水酸化脂肪酸である10-hydroxy-12-octadecaenoic acid (HY)がCLA合成中間体として想定されたことから、酸素吸着剤を用いた嫌気(微好気)条件下にて、各種水酸化脂肪酸の乳酸菌による変換反応を検討した結果、リシノール酸(12-hydroxy-9-octadecaenoic acid)がCLA(cis-9,trans-11-octadecadienoic acid(18/2)およびtrans-9,trans-11-18:2)へと変換されることを見いだした。本活性を広く乳酸菌に検索したところ、Lactobacillus属、Streptococcus属、pediococcus属、Leuconostoc属など多様な乳酸菌に活性を見いだし、Lactobacillus plantarum JCM1551を高活性菌として選抜した。L.Plantarum JCM1551の湿菌体を触媒として用いた場合、3.4mg/mlのリシノール酸から2.4mg/mlのCLAを生成した。湿菌体の活性は培養時にリノール酸やα-リノレン酸を添加することにより向上した。本反応の直接の基質は遊離型のリシノール酸であったが、リパーゼを用いることにより、リシノール酸を主成分とするトリアシルグリセリドに富むヒマシ油がCLA生産の原料となりうることが示された。リパーゼを添加した至適反応条件下では、4.3mg/mlのヒマシ油から2.6mg/mlのCLAを生成した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kishino et al.: "Conjugated linoleic acid production from linoleic acid by lactic acid bacteria"J.Am.Oil Chem.Soc.. 79. 159-163 (2002)
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[Publications] Kishino et al.: "Ricinoleic acid and cator oil as substrates for conjugated linoleic acid production by washed cells of Lactobacillus plantarum"Biosci.Biotechnol.Biochem.. 66. 2283-2286 (2002)
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[Publications] 小川 順: "微生物による共役リノール酸(CLA)生産"バイオサイエンスとインダストリー. 60. 753-754 (2002)
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[Publications] 小川 順: "微生物による機能性脂質の生産"科学と工業. 76. 163-170 (2002)